「節税」で検索してみたものの、出てくるのは会社設立の話や個人事業主向けの経費テクニックばかりで、結局自分に何が使えるのかわからなかった——そんな経験はありませんか。
節税と聞くと難しそうに感じますが、実際には「知っているかどうか」だけで手取りが変わる制度がいくつもあります。
特別な資産や事業を持っていなくても、会社員でも、扶養家族がいる人でも、使える仕組みは意外と多いのです。
この記事では、自分の立場に合わせてどこから手をつければいいかを整理していきます。
なぜ「自分に何が使えるか」がわかりにくいのか
節税の情報がわかりにくい一番の理由は、会社員向けの情報と個人事業主向けの情報が混ざって発信されていることにあります。
個人事業主は事業のための支出を経費として計上できますが、給与収入だけの会社員には基本的にこの選択肢がありません。
会社員に認められているのは、給与から一定額を差し引く「給与所得控除」が中心です。
土台となる仕組みが違うのに、同じ「節税」という言葉でまとめて語られてしまうため、自分に関係のある情報を選び取るのが難しくなっています。
会社員としての節税の優先順位を先に知りたい方は、会社員の節税、年末調整だけで終わらせていませんか?今日からできる優先順位も参考になります。
さらに、控除には「年末調整で会社が手続きしてくれるもの」と「自分で確定申告しないと受けられないもの」が混在しています。
この違いを知らないまま放置すると、本来受けられるはずの控除を取りこぼすことになりかねません。
使える控除を立場別に整理する
まずは自分がどちらの立場に近いかを確認し、そのうえで使える制度を一つずつ確認していくのが遠回りに見えて一番早い方法です。
1. 自分の所得の種類を確認する
給与収入だけであれば「給与所得者」、事業からの収入があれば「事業所得者」に分類されます。
副業をしていて事業所得や雑所得がある場合は、両方の制度を組み合わせられる可能性があります。
まずはここを押さえておくと、この先の話が整理しやすくなります。
2. 家族構成に関わる控除を確認する
配偶者や扶養している家族がいる場合、扶養控除・配偶者控除が使えます。
控除額は扶養親族の年齢や所得によって異なり、16歳以上の一般扶養親族で38万円、19歳から22歳までの特定扶養親族では63万円が目安です。
これらは年末調整で会社に申告すれば適用されるため、忘れずに書類を提出することが第一歩になります。
3. 医療費・保険料に関わる控除を確認する
1年間の医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の場合はその5%)を超えた場合、超えた分を医療費控除として確定申告で申告できます。
市販薬の購入が中心で医療費控除の対象額に届かない年は、対象の医薬品を年間1万2,000円を超えて購入した場合に使える「セルフメディケーション税制(上限8万8,000円)」を検討する余地もあります。
ただし医療費控除とセルフメディケーション税制は同じ年に併用できないため、どちらか有利な方を選ぶ必要があります。
生命保険や地震保険に加入している場合は、生命保険料控除(所得税で最大12万円)・地震保険料控除(所得税で最大5万円)も年末調整で申告できます。
証明書を紛失しないよう、秋ごろに届く控除証明書はまとめて保管しておくと安心です。
4. 資産形成をしながら節税できる制度を確認する
老後資金を準備しながら節税したい場合はiDeCo(個人型確定拠出年金)が選択肢になります。
掛金の全額が所得控除の対象になり、運用で得た利益も非課税で再投資できる仕組みです。
ただし原則として60歳になるまで資産を引き出せないため、当面使う予定のない資金で無理なく続けられる金額から始めるのが現実的です。
掛金の目安や引き出し制限をより詳しく知りたい方はiDeCoの節税、結局いくら得なの?仕組みと落とし穴をやさしく解説も参考にしてください。
投資の運用益にかかる税金を抑えたい場合はNISA(少額投資非課税制度)も検討できます。
iDeCoほど資金を長期間拘束されないため、流動性を残しながら節税したい人に向いています。
5. ふるさと納税で控除と返礼品を組み合わせる
寄付先の自治体を選んで寄付をすると、自己負担2,000円を除いた金額が翌年の住民税や所得税から控除される制度です。
給与所得者で寄付先が5自治体以内であれば、ワンストップ特例制度を使うことで確定申告をせずに手続きを完結できます。
控除される上限額は年収や家族構成によって変わるため、寄付をする前にシミュレーションで目安を確認しておくと安心です。
仕組みをもう少し詳しく知りたい方はふるさと納税は本当に節税になる?仕組みと損しないためのコツで解説しています。
6. 副業がある場合は経費と青色申告も選択肢に入れる
副業からの収入が事業所得として認められる場合は、必要経費を計上したうえで、青色申告をすることで最大65万円の特別控除を受けられます。
事業が赤字になった年は、給与所得と損益を通算できる場合もあるため、副業の規模が大きくなってきたら検討する価値があります。
つまずきやすいポイント・よくある誤解
- 年末調整だけで完結すると思い込んでいる: 医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例を使わない場合)、住宅ローン控除の初年度などは、年末調整ではなく確定申告が必要です。
会社任せにしていると控除を受けそびれます。 - 控除証明書の提出忘れ: 生命保険料控除や地震保険料控除は、証明書を年末調整の時期までに提出しないと反映されません。
届いたらすぐに保管場所を決めておくと安心です。 - 申告期限を過ぎてしまう: 医療費控除などの還付申告は、対象の年の翌年から5年以内に行わないと権利が消滅してしまいます。
「今年は間に合わなかったから来年でいいか」という判断は避けたいところです。 - 節税のために不要な支出を増やしてしまう: 控除を受けるために本来必要のない買い物や保険加入をすると、控除額よりも支出のほうが大きくなり本末転倒です。
あくまで「もともと発生する支出・すでにある家族構成」に対して使える制度がないかを確認するという順番で考えるのが基本になります。
まとめ
個人の節税は、事業をしていなくても「自分の状況に当てはまる控除を漏れなく使う」ことから始められます。
まずは所得の種類と家族構成を確認し、年末調整で完結するものと確定申告が必要なものを分けて把握することが、遠回りに見えて一番確実な一歩です。
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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