利益が多く出そうな期末になると、「今のうちに物をたくさん買えば節税になりますか?」というご相談を受けることがあります。
結論からいうと、期末に物を買っただけで、必ず節税になるわけではありません。
税務上、その期の損金・必要経費になるものを購入すれば所得は減ります。しかし、販売用の商品や材料が期末に残っている場合は棚卸資産として翌期へ繰り越されます。また、高額なパソコン、機械、備品などは固定資産として減価償却になるため、購入額全額をすぐに経費にできるとは限りません。
節税になるかどうかは、「何を買ったか」「いくらか」「期末までに使ったか」「在庫として残っていないか」「継続的な処理か」によって変わります。
経営者
利益がたくさん出そうです。
期末にたくさん物を買えば節税になりますか?
税理士
期末に物を買えば、必ず節税になるというわけではありません。
その期の経費になるものを購入すれば利益は減りますが、買ったものの種類によって処理が変わります。
販売用の商品や材料で期末に残っているものは在庫になりますし、高額な備品や機械は固定資産として減価償却することになります。
経営者
商品や材料を多めに仕入れた場合はどうなりますか?
税理士
販売用の商品や材料を期末に大量に仕入れても、期末に残っているものは原則として棚卸資産になります。
つまり、買った時点で全額が経費になるのではなく、売れずに残っている商品や未使用の材料は翌期に繰り越されます。
そのため、単純な「買いだめ」では、その期の利益を思ったほど減らせないことがあります。
経営者
では、パソコンや機械、備品を買うのはどうですか?
税理士
高額なパソコン、機械、備品などは、原則として固定資産になります。
固定資産になる場合、購入額全額をその期に一度に経費にするのではなく、耐用年数に応じて減価償却します。
少額の資産については、一括で経費にできる場合や特例を使える場合もありますが、金額、資産の内容、法人か個人事業者か、青色申告かどうかなどで判断が変わります。
したがって、「備品を買えば必ず全額経費」とは考えない方がよいです。
経営者
事務用品などの消耗品なら、買った年の経費になりますか?
税理士
事務用品、作業用品、包装材料などの消耗品は、原則として実際に消費した事業年度の損金になります。
ただし、法人税基本通達では、毎年おおむね一定数量を購入し、経常的に消費していて、継続して購入時に損金処理しているものについては、購入した事業年度の損金にできる取扱いが示されています。
一方で、期末だけ節税目的で普段より大量に買い込むようなケースは、この取扱いから外れる可能性があります。
経営者
注文しただけでも、経費になりますか?
税理士
注文しただけでは、通常は経費として弱いです。
法人税では、販売費や一般管理費などを期末までに損金にするためには、原則として債務が確定している必要があります。
債務が確定しているかどうかは、単に請求書があるかだけではなく、期末までに債務が成立しているか、給付を受ける原因となる事実が発生しているか、金額を合理的に算定できるかなどを見ます。
期末ぎりぎりに注文しただけで、商品が届いていない、サービス提供も受けていないという場合は、その期の経費にできない可能性があります。
経営者
それでも税金を減らせるなら、買っておいた方が得ではありませんか?
税理士
ここは資金繰りも含めて考える必要があります。
たとえば、100万円の不要な物を買って利益が100万円減ったとしても、100万円そのものが税金から戻ってくるわけではありません。
税金は減るかもしれませんが、手元資金は100万円減ります。
節税のためだけに不要な物を買うと、税金は少し減っても、会社や事業の資金繰りは悪化します。
基本は、「どうせ近いうちに必要になる事業用支出を、税務上その期の経費にできる範囲で前倒しする」という考え方です。
経営者
期末に購入を検討するときは、何を確認すればよいですか?
税理士
まず、買おうとしているものを3つに分けてください。
販売用の商品・材料なのか、自社で使う固定資産なのか、通常使用する消耗品なのかです。
販売用の商品や材料で期末に残るものは、原則として在庫になります。
高額なパソコン、機械、備品などは、原則として固定資産として減価償却します。
消耗品については、毎年おおむね一定数量を購入し、経常的に消費していて、継続して購入時に経費処理しているかを確認します。
この分類をしないまま期末に買い込むと、思ったほど節税にならないことがあります。
経営者
では、期末にできる節税としては何が現実的ですか?
税理士
現実的なのは、もともと必要な支出を前倒しできるかを確認することです。
たとえば、翌期早々に確実に使う事務用品、修繕、広告、システム利用料、専門家費用などについて、その期の費用にできる要件を満たすかを確認します。
ただし、前払費用、固定資産、棚卸資産、債務確定の問題があるため、すべてがその期の経費になるわけではありません。
金額が大きいものほど、購入前に確認した方が安全です。
町田・相模原で期末の節税対策に悩んでいる方へ
期末の節税は、「とにかくお金を使えばよい」というものではありません。
商品や材料であれば在庫、備品であれば固定資産、消耗品であれば継続処理や経常消費の有無を確認する必要があります。
また、不要な支出を増やすだけの節税は、税金は減っても手元資金を減らすため、経営上は逆効果になることがあります。
町田・相模原で、期末の利益見込み、納税額、資金繰りを踏まえた節税対策を検討している方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
町田・相模原で税理士をお探しなら、タクスリンク税理士事務所へ
要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の処理は、法人か個人事業者か、購入物品の内容、金額、数量、納品・使用状況、これまでの会計処理方法などにより異なります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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