会社員の方からよく受ける質問に、「個人事業主として副業をすると会社にバレますか?」というものがあります。
結論からいうと、個人事業主として副業を始めたからといって、税務署から勤務先へ「この人は副業を始めました」と直接通知される仕組みではありません。
開業届は、納税地を所轄する税務署へ提出する手続です。勤務先へ提出する書類ではありません。
ただし、会社に知られる可能性が比較的高いのは、翌年度の住民税です。
会社員の住民税は、通常、会社が給与から天引きする「特別徴収」です。副業による事業所得等に対する住民税まで本業会社の給与天引きに含まれると、会社に通知される住民税額が給与だけの場合より高くなり、経理担当者や給与担当者が違和感を持つ可能性があります。
会社員
個人事業主として副業を始めようと思っています。
会社にバレますか?
税理士
個人事業主として副業を始めたからといって、税務署から勤務先へ「この人は副業しています」と通知される制度ではありません。
開業届などの税務上の届出は、税務署に対する手続です。
ただし、税金の関係で会社に気付かれる可能性があるとすれば、典型的には翌年度の住民税です。
会社員
住民税でバレる、という話を聞いたことがあります。
どういう仕組みですか?
税理士
会社員の住民税は、通常、会社が給与から天引きしています。これを特別徴収といいます。
副業の所得に対する住民税まで本業会社の給与から天引きされる形になると、会社に通知される住民税額が給与だけの場合より高くなることがあります。
その結果、給与担当者が「この給与水準にしては住民税が高い」と気付く可能性があります。
ただし、会社に「どこの副業でいくら稼いだ」という内容そのものが通知されるわけではありません。あくまで住民税額から推測される可能性がある、という意味です。
会社員
2026年に副業した場合、いつ会社に気付かれる可能性がありますか?
税理士
税金経由で会社に気付かれるとすれば、典型的には2027年5月から6月頃です。
2026年中に副業所得が発生した場合、その所得は2026年分の所得税確定申告や、2027年度の住民税計算に反映されます。
市区町村は、原則として5月31日までに会社へ特別徴収税額を通知し、会社は6月から翌年5月まで住民税を給与から徴収します。
したがって、副業を始めた直後に税金経由で会社へ分かるというより、翌年5月から6月頃に住民税額を通じて気付かれる可能性がある、という流れです。
会社員
副業の住民税を会社の給与天引きにしない方法はありますか?
税理士
個人事業による事業所得や雑所得など、給与・公的年金等以外の所得については、確定申告時に住民税を「自分で納付」とする選択ができます。
確定申告書の住民税に関する欄で、「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」について、「自分で納付」を選択します。
これにより、本業給与に対する住民税は会社の給与天引き、副業所得に対する住民税は自分で納付、という形に分けられるのが原則です。
会社員
では、「自分で納付」にすれば絶対に会社にバレませんか?
税理士
そこは注意が必要です。
「自分で納付」は、あくまで副業所得に対する住民税を会社の給与天引きから切り離すための税務上の手続です。
会社から副業を完全に秘匿する制度ではありません。
たとえば、SNS、Webサイト、名刺、同僚や取引先からの情報、本業会社の取引先との接触、勤務時間中の副業、会社のパソコンやメールの利用など、税金以外のルートで知られる可能性はあります。
また、勤務先の就業規則で副業が禁止、許可制、届出制になっている場合もあります。
会社員
副業所得が20万円以下なら、申告しなくていいから会社にもバレないと聞きました。
税理士
それは誤解されやすいところです。
20万円以下という基準は、一定の給与所得者について、給与所得・退職所得以外の所得金額が20万円以下であれば、所得税の確定申告が不要になる場合があるという制度です。
しかし、これは所得税の話です。
住民税について、同じように「20万円以下なら申告不要」となる制度があるわけではありません。
副業所得が20万円以下でも、市区町村への住民税申告が必要になる場合があります。
会社員
副業が個人事業ではなく、別の会社でアルバイトをする場合も同じですか?
税理士
同じではありません。
今回の話は、個人で仕事を請ける個人事業の副業を前提にしています。
副業先から給与としてアルバイト代を受け取る場合、その副業収入は給与所得になります。
確定申告書で「自分で納付」を選択できるのは、基本的に給与・公的年金等以外の所得に係る住民税です。
そのため、他社アルバイトの給与については、個人事業の副業よりも住民税を本業会社の給与天引きと分けにくいことがあります。
会社員
会社には、住民税の通知書で副業の内容まで分かるのですか?
税理士
通常、会社が見るのは、会社が給与から天引きすべき住民税額に関する情報です。
副業の具体的な内容、取引先、屋号、仕事内容まで勤務先に通知されるという仕組みではありません。
ただし、住民税額が本業給与に比べて高い場合、給与担当者が何らかの給与以外の所得があるのではないかと気付く可能性はあります。
なお、自治体によっては、従業員本人用の住民税通知について、個人情報保護の観点から内容を秘匿化して会社経由で本人へ渡す運用も行われています。
会社員
結局、税務上はどう対応するのが安全ですか?
税理士
まず、副業が個人事業なのか、他社からの給与なのかを明確に分けてください。
個人事業として副業を行う場合は、売上、経費、利益をきちんと記録し、必要に応じて所得税の確定申告を行います。
そのうえで、会社の給与天引きに副業所得分の住民税を含めたくない場合は、確定申告時に住民税の徴収方法として「自分で納付」を選択します。
ただし、「普通徴収にすれば絶対に会社に知られない」と説明するのは危険です。税務上の住民税ルートを分ける手続であり、就業規則や社内ルールの問題とは別です。
町田・相模原で副業・個人事業の税務に不安がある方へ
副業を始めると、売上の記録、経費の範囲、確定申告、住民税の徴収方法、開業届、青色申告など、確認すべき点が一気に増えます。
特に会社員の副業では、「所得税の確定申告が必要か」「住民税を自分で納付できるか」「20万円以下なら何もしなくてよいのか」といった誤解が生じやすいところです。
町田・相模原で、会社員の副業、個人事業の開業、確定申告、住民税の普通徴収について不安がある方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
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要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の対応は、副業の内容、所得区分、勤務先の就業規則、市区町村の運用、確定申告の有無などにより異なります。副業禁止・許可制・競業避止・秘密保持などの労務上の問題については、必要に応じて社会保険労務士または弁護士へ確認してください。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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