在庫の評価額を下げられる?原価法・低価法・棚卸評価損を税理士が解説

SEOタイトル 在庫の評価額は下げられる?原価法・低価法・棚卸資産評価損の違いを解説

決算時に大量の在庫が残っていると、

「仕入れたときは1万円だったけれど、今は8,000円でしか売れない」

「型落ち商品なので、定価ではもう売れそうにない」

「何年も売れていない在庫だから、帳簿価額を下げて経費にできないか」

と考えることがあります。

しかし、棚卸資産の評価額は、決算の利益に直接影響します。

期末在庫を100万円少なく評価すれば、売上原価は100万円増え、利益は100万円減ります。

そのため税務上は、会社が決算の都合に合わせて自由に在庫評価額を引き下げることは認められていません。

在庫の価値が下がった場合には、大きく、

①あらかじめ「低価法」を選定している場合

と、

②災害・著しい陳腐化などを理由に「棚卸資産評価損」を計上する場合

を分けて考える必要があります。

そもそも期末在庫が減ると、なぜ経費が増える?

例えば、

期首在庫 500万円

当期仕入 2,000万円

の場合を考えます。

期末在庫が700万円なら、

500万円+2,000万円-700万円=売上原価1,800万円

です。

一方、期末在庫を600万円と評価すると、

500万円+2,000万円-600万円=売上原価1,900万円

となります。

期末在庫700万円 期末在庫600万円
期首在庫 500万円 500万円
当期仕入 2,000万円 2,000万円
期末在庫 ▲700万円 ▲600万円
売上原価 1,800万円 1,900万円

棚卸資産の評価には「原価法」と「低価法」がある

原価法 低価法
基本 取得原価を基準に評価 原価と期末時価の低い方
市場価格が下落 原則としてそのまま原価 時価が低ければ時価まで評価減
事前の選定 必要 必要
決算ごとに自由に変更 不可 不可

原価法には6種類の評価方法がある

評価方法 概要
個別法 個々の商品の実際の取得価額で評価
先入先出法 古く取得したものから先に販売されたと仮定し、期末在庫を新しい取得分から構成されたものとして評価
総平均法 一定期間の取得原価を平均して単価を計算
移動平均法 仕入れの都度、平均単価を計算し直す
最終仕入原価法 期末に最も近い時点の仕入単価を基礎に評価
売価還元法 販売価額に原価率を掛けて取得原価を逆算

届出を何もしていない会社はどの方法になる?

評価方法はいつ税務署へ届け出る?

今期だけ原価法から低価法へ変更できる?

評価方法は毎年変更できる?

低価法の「時価」は何を使う?

売却可能価額

- 見積追加製造原価(未完成品の場合)

- 見積販売直接経費

= 正味売却価額

という考え方です。

原価1万円の商品が7,500円でしか売れない場合は?

100個残っているとすると、

原価法 低価法
1個当たり評価額 10,000円 7,500円
数量 100個 100個
期末在庫 1,000,000円 750,000円
差額 ― 250,000円減少

単なる市場価格の下落でも低価法なら下げられる?

低価法と「棚卸資産評価損」は別制度

低価法 棚卸資産評価損
性質 通常の棚卸資産評価方法 特別な事情による評価減
事前選定 必要 評価方法としての事前選定は不要
単なる市場価格下落 時価が原価を下回れば対象になり得る 原則不可
災害による著しい損傷 時価低下として反映可能 対象になり得る
著しい陳腐化 時価低下として反映可能 対象になり得る
税務上の根拠 法人税法29条・施行令28条 法人税法33条・施行令68条

棚卸資産評価損を計上できるのはどんな場合?

「著しい陳腐化」とは?

型落ち・たなざらし・破損なら評価損にできる?

単に仕入価額より相場が下がっただけでは評価損にできない

会計上「在庫評価損」を計上していれば税務でも経費になる?

評価損はいくらまで落とせる?

評価損を出すなら、どんな証拠を残す?

廃棄した場合と評価損は同じ?

低価法なら利益が出る会社は変更した方が得?

今回のような在庫を決算で見つけたら何を確認する?

順番 確認項目
1 税務署へ届け出ている棚卸資産評価方法を確認
2 実際に継続して使っている評価方法と一致しているか確認
3 低価法なら原価と決算日時点の正味売却価額を比較
4 原価法なら著しい陳腐化・破損・たなざらし等の特別な事実があるか確認
5 販売実績・値下げ履歴・写真・廃番資料等の客観資料を保存
6 今後低価法へ変更するなら翌事業年度開始前に変更承認申請を検討

町田・相模原で在庫・決算処理にお悩みの方へ

決算時の棚卸資産は、期末利益を大きく左右する項目です。

販売価格が下がっている商品、何年も売れていない在庫、型落ち商品、不良品などについても、単に「売れそうにないから半額」「古いからゼロ」と評価できるわけではありません。

現在採用している評価方法が原価法なのか低価法なのかを確認したうえで、低価法による評価なのか、著しい陳腐化等による評価損なのか、実際に廃棄するのかを分けて判断する必要があります。

タクスリンク税理士事務所では、町田・相模原を中心に東京都・神奈川県の中小企業について、法人決算、棚卸資産、在庫評価、評価損などの税務相談に対応しています。

決算時に長期滞留在庫や値下がり在庫がある場合は、在庫一覧、取得原価、現在の販売価格、販売実績、値下がり理由などを確認したうえで、税務上どこまで評価減できるかを検討します。

※本記事は、2026年9月現在の法令・法人税基本通達・国税庁公表資料に基づき、法人が保有する商品・製品等の棚卸資産について、原価法・低価法及び評価損の一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の処理は、現在選定している棚卸資産評価方法、在庫の種類、取得原価、決算日時点の販売可能価額、販売直接経費、滞留期間、値下がり理由、商品の状態、過去の販売実績等によって異なります。特に著しい陳腐化等による評価損は事実認定が重要となるため、金額が大きい場合には客観資料を確認したうえで個別に判断する必要があります。

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Author Profile

末廣 大地
起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。