販売用の商品を廃棄した場合、その商品の原価は経費になるのでしょうか。
結論からいうと、販売用の商品を実際に廃棄した場合には、原則として、その商品の帳簿価額、つまり原価部分は、法人であれば損金、個人事業主であれば必要経費として処理できると考えられます。
ただし、注意が必要です。
税務上は、「実際に商品を廃棄した場合」と、「まだ商品は残っているが、売れないので帳簿上だけ価値を下げる場合」は分けて考える必要があります。
また、税務調査では、「本当に廃棄したのか」「役員や従業員が持ち帰っていないか」「取引先に無償で渡していないか」を確認される可能性があります。
そのため、商品を廃棄する場合は、廃棄した事実を説明できる資料を残しておくことが重要です。
経営者
売れ残った商品を廃棄する予定です。
商品を廃棄したら、経費になりますか?
税理士
販売用の商品を実際に廃棄した場合には、原則として、その商品の原価は経費として処理できると考えられます。
法人であれば損金、個人事業主であれば必要経費として処理するイメージです。
ただし、単に「売れないから価値をゼロにした」という帳簿上の処理だけではなく、本当に商品を廃棄したことを説明できる資料を残す必要があります。
経営者
実際に捨てた場合と、帳簿上で価値を下げる場合は違うのですか?
税理士
違います。
商品を実際に廃棄した場合は、その商品が在庫として存在しなくなるため、廃棄損や売上原価の処理として考えます。
一方、商品自体はまだ残っているけれど、「売れないから価値を下げたい」という場合は、棚卸資産の評価損の問題になります。
法人税では、資産の評価損は原則として損金に算入できません。災害による著しい損傷、著しい陳腐化など、一定の事実がある場合に限って、例外的に損金算入が認められます。
経営者
では、売れ残った季節商品を廃棄する場合はどうなりますか?
税理士
実際に廃棄するのであれば、廃棄した事実を証明できる資料を残したうえで、原価部分を経費処理することになります。
なお、法人税基本通達では、棚卸資産の著しい陳腐化の例として、いわゆる季節商品の売れ残りなどが挙げられています。
ただし、この通達は、まだ商品が存在している状態で評価損を計上する場合の話です。
実際に廃棄した場合とは論点が異なるため、「廃棄」と「評価損」は分けて整理してください。
経営者
何か必ず作らなければならない書類はありますか?
税理士
税法上、「廃棄証明書」という名称の書類を必ず作成しなければならない、という規定があるわけではありません。
ただし、税務調査で廃棄の事実を説明できるように、廃棄一覧表、写真、廃棄記録、廃棄業者の証憑、在庫台帳などを保存しておくことをおすすめします。
特に金額が大きい場合や、決算直前に大量廃棄する場合は、証拠を残しておかないとリスクが高くなります。
経営者
廃棄一覧表には、何を書けばよいですか?
税理士
少なくとも、次の内容を記載してください。
商品名、商品コード、数量、仕入原価、廃棄日、廃棄理由です。
たとえば、賞味期限切れ、破損、劣化、型落ち、販売不能、保管中の変質など、なぜ販売できなくなったのかを具体的に残します。
金額が大きい場合は、誰が確認し、誰が廃棄を決定したのかも残しておくと安全です。
経営者
写真も必要ですか?
税理士
必須という規定があるわけではありませんが、写真はかなり有効です。
廃棄前の商品全体、数量が分かる状態、廃棄作業中、廃棄後の状況を撮影しておくと、後から説明しやすくなります。
特に、廃棄する商品が多い場合や金額が大きい場合は、写真を残しておくべきです。
経営者
廃棄業者に頼む場合は、何を残せばよいですか?
税理士
廃棄業者に依頼する場合は、請求書、領収書、廃棄証明書、マニフェストなどを保存してください。
業者から廃棄証明書をもらえる場合は、廃棄した商品、数量、廃棄日、処分内容が分かる形で残しておくとよいです。
廃棄費用そのものも、事業に必要な廃棄であれば、原則として経費処理の対象になります。
経営者
自社でゴミとして捨てる場合は、証明が難しいですよね。
税理士
その場合こそ、社内資料を残してください。
廃棄一覧表、廃棄前後の写真、廃棄日、廃棄担当者、確認者、廃棄理由を記録しておきます。
少額で日常的な廃棄であれば簡易な記録でも足りることがありますが、多額の廃棄や期末直前の大量廃棄は、より慎重に資料を残すべきです。
経営者
廃棄したつもりでも、従業員が持ち帰った場合はどうなりますか?
税理士
その場合は注意が必要です。
本当に廃棄したのではなく、役員や従業員に無償または低額で渡しているのであれば、給与課税や役員給与、寄附、交際費など、別の論点が出る可能性があります。
また、取引先に無償で渡した場合も、単なる廃棄とは違う扱いになる可能性があります。
廃棄として処理するなら、誰かが持ち帰ったり、再利用したりしていないことを明確にしておく必要があります。
経営者
仕入時にすでに仕入として経費にしている場合、廃棄時にもまた経費にしてよいのですか?
税理士
二重に経費計上しないよう注意が必要です。
商品を仕入れたときに仕入として処理していても、期末に売れ残っている商品は棚卸資産として在庫に残ります。
そのため、廃棄した商品の原価は、在庫から減少させる処理を通じて売上原価や廃棄損として反映させます。
すでに経費にしたものを、廃棄時にもう一度経費にする、という処理はできません。
在庫台帳や棚卸表と対応させて、廃棄分が在庫から減っていることを確認してください。
経営者
税務調査で問題になりやすいのは、どんなケースですか?
税理士
次のようなケースは注意が必要です。
廃棄金額が多額、決算直前に大量廃棄している、写真や廃棄記録がない、廃棄業者の証憑がない、役員や従業員が持ち帰っている、実際には廃棄していないのに帳簿上だけゼロにしている、といったケースです。
このような場合は、単なる経費処理として進めるのではなく、事前に税理士へ確認した方が安全です。
町田・相模原で在庫廃棄や棚卸の処理に不安がある方へ
商品を廃棄した場合の処理は、一見すると単純に見えます。
しかし、実際には、廃棄した事実の証明、在庫台帳との整合性、売上原価との関係、評価損との区別、役員・従業員への持ち帰りの有無など、確認すべき点があります。
特に、決算直前に多額の商品を廃棄する場合は、税務調査で説明できる資料を残すことが重要です。
町田・相模原で、在庫廃棄、棚卸、売上原価の整理に不安がある方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
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要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の処理は、廃棄する商品の内容、金額、廃棄理由、証拠資料、在庫管理状況、法人・個人の別などにより異なります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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