年収800万円の節税、何から始める?手取りが伸びない理由と今日からできる対策

「年収が上がったはずなのに、手取りはそこまで増えていない気がする」。
そんな違和感から検索にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。
年収800万円は、所得税や住民税、社会保険料の負担がじわじわと重くなり始めるラインです。
何もしなければ、増えた分の多くが税金と社会保険料に消えてしまいます。
この記事では、なぜ手取りが伸び悩むのかという理由と、会社員でも今日から始められる節税の手順を、つまずきやすいポイントとあわせて整理します。

年収800万円で手取りが伸び悩む理由

理由は大きく3つあります。

1つ目は、給与所得控除が頭打ちに近づくことです。
給与所得控除は年収に応じて増えていきますが、年収850万円を超えるとそれ以上増えなくなります。
年収800万円はその手前にあたるため、以前より控除の「伸びしろ」が小さくなっています。

2つ目は、所得税が累進課税であることです。
所得税は課税所得(給与所得控除や社会保険料控除などを差し引いたあとの金額)が高くなるほど税率区分も上がっていきます。
年収だけで税率が一律に決まるわけではありませんが、年収800万円のケースでは課税所得が330万円〜695万円の「所得税率20%」の区分に入ることが多く、この区分にいる間は所得控除を1つ作るごとの節税効果が比較的大きくなります。

3つ目は、社会保険料も収入に比例して増えることです。
厚生年金・健康保険・雇用保険はいずれも標準報酬月額に応じて決まるため、年収が上がれば天引き額もそのまま増えます。

年収が100万円増えても、税金と社会保険料の増加分を差し引くと、自由に使える手取りがまるまる増えるわけではありません。
だからこそ、使える控除を漏れなく使うことが重要になります。

今日から始められる節税の手順

まずは年末調整で使える控除を取りこぼさない

会社員の場合、生命保険料控除(一般・介護医療・個人年金の3区分、それぞれ上限4万円で所得税分は合計最大12万円)、地震保険料控除(上限5万円)、住宅ローン控除(初年度のみ確定申告が必要で、以降は年末調整。
年末のローン残高の0.7%を新築なら原則13年間、中古住宅など条件によっては10年間控除)などは、年末調整の書類を出すだけで適用されます。
何となく記入して提出していないか、一度見直してみましょう。
年末調整で見落としやすいポイントは、会社員の節税、年末調整だけで終わらせていませんか?今日からできる優先順位でも整理しています。

iDeCoで所得控除をつくる

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、掛金が全額所得控除の対象になる制度です。
会社員で勤務先に企業年金がない場合、掛金の上限は月額2万3,000円(自分の上限額は加入前に公式サイトや勤務先で確認が必要です)。

節税額の目安は「年間の掛金 × (所得税率+住民税率10%)」で計算できます。
課税所得が330万円〜695万円の所得税率20%の区分にいる場合、掛金の上限いっぱいまで拠出すると、年間8万円前後の節税になる計算です(課税所得や掛金額によって変わるため、あくまで目安です)。
ただし60歳まで原則引き出せない資金になるため、生活防衛資金を確保したうえで始めることが前提になります。
仕組みと落とし穴はiDeCoの節税、結局いくら得なの?仕組みと落とし穴をやさしく解説で詳しく解説しています。

ふるさと納税は上限を「最後に」計算する

ふるさと納税は、自己負担2,000円を除いた寄付額が翌年の住民税・所得税から控除される制度です。
年収800万円・独身または配偶者控除なしの会社員であれば、上限の目安は12万円台(家族構成や他の控除の有無で変わります)。

ここで注意したいのは、ふるさと納税の上限額は、iDeCoなど他の控除を反映したあとの課税所得をもとに計算し直す必要があるということです。
先にふるさと納税の上限だけを計算してしまうと、あとからiDeCoを始めたときに寄付しすぎとなり、自己負担が増えてしまいます。
iDeCoの掛金を決めてから、ふるさと納税の上限を計算する順番がおすすめです。
仕組みと注意点はふるさと納税は本当に節税になる?仕組みと損しないためのコツにまとめています。

確定申告が必要な控除も忘れずに

医療費控除(年間の自己負担医療費が10万円を超えた分、上限200万円)のように、年末調整では反映されず確定申告が必要な控除もあります。
時期は毎年2月中旬〜3月中旬です。
家族の分の領収書もまとめて計算できるので、通院・薬代の記録が残っていないか確認しておきましょう。
確定申告で使える控除の探し方は確定申告の節税、何から始める?経費・控除で戻ってくるお金の探し方を参考にしてください。

つまずきやすいポイント・よくある誤解

順番を間違える: 先に述べたとおり、ふるさと納税の上限はiDeCoなど他の控除を反映したあとに計算するのが基本です。
順番を逆にすると、寄付しすぎて自己負担が増えることがあります。

節税だけを目的にリスクの大きい商品に手を出す: 不動産投資の減価償却を使った損益通算など、給与所得と相殺できる仕組みも存在します。
ただし、こうした手法はローンの返済や空室リスクを伴う資産運用そのものであり、節税効果だけを理由に始めるものではない、という指摘もあります。
節税は資産形成の手段であって、目的ではありません。
仕組みを理解しないまま始めると、税金以上の損失を抱えるおそれがあります。

年収が上がるほど節税額も比例して増えると思い込む: iDeCoの掛金上限やふるさと納税の上限など、制度ごとに使える枠は決まっています。
年収が上がっても、使える控除の枠が同じペースで増えるとは限らない点には注意が必要です。

まとめ

年収800万円は、所得控除による節税効果が比較的大きくなる税率帯に入りやすいタイミングです。
年末調整の控除を取りこぼさず、iDeCo→ふるさと納税の順で整理すれば、無理なく手取りを守りやすくなります。
さらに年収が上がったときの考え方は、年収1000万円の節税、何から手をつける?税率が上がる仕組みと今日からできる対策も参考になります。

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