従業員の昼食代を会社が負担した場合、「福利厚生費として経費にできる」と考えてしまうことがあります。
また、福利厚生費の要件を考えるのが面倒であれば、従業員みんなで外食して「交際費」にした方が簡単ではないか、と思うこともあるかもしれません。
しかし、税務上は、会社が従業員の昼食代を負担したからといって、自動的に福利厚生費になるわけではありません。
特に重要なのは、次の3つを分けて考えることです。
経営者
従業員の昼食代を会社が負担したら、福利厚生費になりますか?
経費にするなら、福利厚生費の要件を満たすより、みんなでご飯を食べに行って交際費にした方が簡単な気もします。
税理士
昼食代については、会社側の経費区分と、従業員側で給与課税されるかを分けて考える必要があります。
会社が負担したからといって、自動的に福利厚生費になるわけではありません。
また、従業員だけで飲食したものを交際費にすれば何でも経費になる、という整理も危険です。
経営者
会社が従業員のために払っているので、福利厚生費ではないのですか?
税理士
福利厚生費として整理できる場合はあります。
たとえば、全従業員を対象にした通常程度の福利厚生行事や、社内行事に伴う通常の飲食などであれば、福利厚生費として整理できる余地があります。
ただし、通常勤務日の昼食を継続的に会社が負担する場合は、従業員に対する経済的利益、つまり給与課税の問題が出ます。
税務上は、会社の勘定科目を福利厚生費にしたから、従業員側の給与課税が自動的になくなるわけではありません。
経営者
従業員側で給与課税されないようにするには、どうすればよいですか?
税理士
食事を現物支給する場合、給与課税しない取扱いを受けるには、原則として次の2つを満たす必要があります。
1つ目は、従業員が食事の価額の50%以上を負担していることです。
2つ目は、会社の負担額が月額7,500円以下であることです。ここでいう7,500円は、消費税等を除いた金額です。
この7,500円基準は、2026年4月1日以後の食事について適用される取扱いです。
経営者
以前は月3,500円という話を聞いたことがあります。
税理士
そのとおりです。
食事の現物支給に関する非課税基準は、従前は会社負担額が月額3,500円以下とされていました。
ただし、2026年4月1日以後の食事については、月額7,500円以下へ引き上げられています。
そのため、現在の記事や古い資料を見る場合は、3,500円基準のままになっていないか注意が必要です。
経営者
会社が従業員に昼食代を現金で渡したり、従業員が払った昼食代を後で精算したりする場合も、7,500円以内なら大丈夫ですか?
税理士
ここはかなり重要です。
会社が従業員に食事代として金銭を支給する場合は、原則として食事の現物支給ではなく、金銭支給として扱われます。
そのため、月7,500円以内であっても、給与課税の問題が出ます。
給与課税を避ける制度として設計するのであれば、会社が弁当業者や飲食店に直接支払う形など、食事の現物支給として説明できる運用にする必要があります。
経営者
では、従業員みんなで飲食店に行って会社が払えば、交際費で処理できますか?
税理士
従業員だけで飲食する場合、いわゆる社内飲食費になります。
ここで注意が必要なのは、得意先などとの飲食で使われる1人1万円以下の交際費除外ルールは、専ら自社の役員、従業員、その親族に対する飲食費には使えないという点です。
つまり、従業員だけの飲食を「1人1万円以下だから交際費から除外」と処理することはできません。
経営者
交際費にすれば、法人税上は経費になりますよね?
税理士
中小法人で交際費等の年800万円の定額控除枠に余裕があれば、結果として損金になる場合はあります。
ただし、それは交際費等の枠を使うという意味です。
また、交際費として処理したからといって、従業員側の給与課税が自動的になくなるわけではありません。
さらに、従業員だけの飲食は、得意先との接待飲食費のような50%損金算入ルートにも基本的には乗りません。
そのため、毎日の昼食補助を安易に交際費へ寄せるメリットは、通常あまり大きくありません。
経営者
月1回くらい、全員でランチ会をする場合はどうですか?
税理士
全従業員を対象とする通常程度の懇親、慰安、社内行事としてのランチ会であれば、福利厚生費として整理できる余地があります。
ただし、金額が高額であったり、役員だけ、特定の従業員だけを対象にしていたりすると、福利厚生費としての説明が難しくなります。
福利厚生費として処理するのであれば、対象者、目的、金額、開催頻度に合理性が必要です。
経営者
役員だけでランチをして会社が払った場合はどうなりますか?
税理士
役員だけを対象にした食事代は、福利厚生費としての説明が難しくなります。
実態によっては、交際費、役員給与、役員に対する経済的利益として問題になる可能性があります。
特に、継続的に役員だけの昼食代を会社が負担している場合や、高額な飲食が含まれる場合は注意が必要です。
経営者
結局、毎日の昼食補助と、たまのランチ会では分けて考えるべきということですね。
税理士
そのとおりです。
毎日の昼食補助であれば、従業員本人が50%以上を負担し、会社負担額を月7,500円以下に抑え、食事の現物支給として説明できる制度にするのが基本です。
たまの全社ランチや懇親会であれば、全従業員を対象とした通常程度の福利厚生行事として整理できるかを検討します。
一方、従業員だけの飲食を安易に交際費にすれば簡単という考え方は危険です。
法人税上の費用区分と、源泉所得税上の給与課税の判定は、必ず別々に確認してください。
町田・相模原で従業員の福利厚生や給与課税に不安がある方へ
従業員の昼食代、社内懇親会、福利厚生費、交際費、給与課税の判断は、似ているようで税務上の考え方が異なります。
特に、昼食代を継続的に会社が負担する場合は、会社側では経費になっていても、従業員側で給与課税が必要になることがあります。
町田・相模原で、従業員の福利厚生制度、昼食補助、社内飲食費、給与課税の整理に不安がある方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
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要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の処理は、昼食補助の頻度、対象者、会社負担額、本人負担額、支払方法、社内行事性、資本金、交際費等の年間支出額などにより異なります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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