2か所から給与を受けている場合、どちらの会社で年末調整をするのか迷うことがあります。
また、副業先の給与も含めて確定申告をする予定であれば、そもそも年末調整をしなくてもよいのではないか、と考えてしまうこともあります。
結論として、2か所から同時に給与を受けている場合は、原則として「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している会社、つまり主たる勤務先で年末調整を行います。
もう一方の会社は、通常は従たる給与の支払者となり、年末調整は行わず、源泉徴収票を発行します。
経営者
2か所から給与を受けている人は、どちらの会社で年末調整するのでしょうか?
給与が多い会社で年末調整するのですか?
税理士
給与が多い会社で自動的に年末調整する、というわけではありません。
基本は、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している会社で年末調整を行います。
この会社が、いわゆる主たる給与の支払者です。
経営者
扶養控除等申告書を提出している会社、というのが基準なのですね。
税理士
はい。
2か所から同時に給与を受けている場合、扶養控除等申告書は、原則として主たる給与の支払者を経由して提出します。
そのため、典型的には次のように整理します。
A社が主たる勤務先であれば、A社に扶養控除等申告書を提出し、A社では甲欄で源泉徴収し、年末調整を行います。
B社が副業先・従たる勤務先であれば、B社には通常、扶養控除等申告書を提出せず、B社では乙欄で源泉徴収し、年末調整は行いません。
経営者
副業先では年末調整しないのですか?
税理士
通常はしません。
年末調整は、扶養控除等申告書を提出している一定の給与所得者について、主たる給与の支払者が行う手続です。
副業先や従たる勤務先では、通常、年末調整をせず、年末または退職時に源泉徴収票を発行します。
その後、確定申告が必要な場合は、主たる勤務先の源泉徴収票と、副業先の源泉徴収票を使って、年間の給与所得と所得税を再計算します。
経営者
確定申告をするなら、主たる勤務先でも年末調整しなくてよいのではないですか?
税理士
その整理にはなりません。
確定申告をする予定があるからといって、主たる勤務先での年末調整が当然に不要になるわけではありません。
所得税法上、年末調整の対象となる給与所得者に該当する場合は、主たる勤務先では通常どおり年末調整を行います。
そのうえで、2か所目の給与や医療費控除などを含めて申告が必要な場合に、確定申告で最終的な税額を精算します。
経営者
つまり、年末調整と確定申告は、どちらか一方だけという関係ではないのですね。
税理士
そのとおりです。
主たる勤務先で年末調整をした後に、必要があれば確定申告をします。
たとえば、A社で年末調整済みの源泉徴収票を受け取り、B社からも源泉徴収票を受け取ります。
その2枚を使って、確定申告で2社分の給与を合算します。
年末調整は主たる勤務先での概算精算、確定申告は年間所得全体の最終精算、と考えると分かりやすいです。
経営者
2か所から給与をもらっている人は、必ず確定申告が必要ですか?
税理士
必ずではありません。
2か所給与でも、一定の場合には所得税の確定申告が不要となることがあります。
代表的には、主たる給与以外の給与収入と、給与所得・退職所得以外の所得金額との合計額が20万円以下である場合です。
ただし、これは所得税の確定申告についての話です。住民税の申告が別途必要になることがありますので、所得税だけで判断しないようにしてください。
経営者
年の途中で転職した場合も、2か所給与と同じですか?
税理士
同時に2社で働いている場合と、年の途中で転職した場合は、整理が違います。
年の途中で転職し、前職を退職してから新しい会社に入社した場合は、前職の源泉徴収票を新しい勤務先に提出し、新しい勤務先で前職分を含めて年末調整することがあります。
一方、同時並行で2社から給与を受けている場合は、主たる勤務先で年末調整を行い、もう一方の勤務先は通常、年末調整をしません。
この2つを混同しないことが重要です。
経営者
もし2社に扶養控除等申告書を出してしまったらどうなりますか?
税理士
その場合は、早めに確認が必要です。
扶養控除等申告書は、基本的に主たる給与の支払者に提出するものです。
2社に重複して提出していると、両方の会社で甲欄として源泉徴収され、本来より源泉徴収税額が少なくなる可能性があります。
その場合は、勤務先への訂正や確定申告での精算が必要になることがあります。
経営者
会社側としては、従業員が副業している場合に何を確認すればよいですか?
税理士
まず、その従業員が自社に扶養控除等申告書を提出しているかを確認します。
自社が主たる勤務先であれば、自社で甲欄源泉、年末調整を行います。
一方、自社が副業先で、従業員が他社に扶養控除等申告書を提出している場合は、自社では通常、乙欄で源泉徴収し、年末調整は行いません。
会社側は、「副業しているか」だけで判断するのではなく、「扶養控除等申告書をどこに提出しているか」を確認することが重要です。
町田・相模原で年末調整や給与計算に不安がある方へ
2か所給与の年末調整は、単に給与額が多い会社で行うものではありません。
扶養控除等申告書、甲欄・乙欄、年途中の転職、確定申告の要否、住民税申告の要否を分けて確認する必要があります。
特に、会社側では、従業員が副業している場合に、源泉徴収を甲欄で行うのか乙欄で行うのか、年末調整の対象に含めてよいのかを誤ることがあります。
町田・相模原で、年末調整、給与計算、源泉徴収、法人成り後の経理体制に不安がある方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
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要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の処理は、扶養控除等申告書の提出先、2社勤務が同時並行か年途中転職か、副業先給与の金額、給与以外の所得、医療費控除等の有無、住民税申告の要否などにより異なります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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