Amazonマーケットプレイスに出品している事業者の方から、
「Amazonが購入者に請求書を出しているなら、自分はインボイス登録しなくてもよいのでしょうか?」
という相談を受けることがあります。
結論からいうと、Amazonに出品している場合、一定の条件を満たせば、Amazonが出品者に代わって購入者へインボイスを発行・提供する仕組みがあります。
ただし、ここで誤解してはいけないのは、Amazonが代わりに発行してくれるからといって、出品者自身がインボイス登録をしなくてもよいわけではない、という点です。
Amazonマーケットプレイスで商品を販売している場合、税法上の売主は基本的に出品者です。
Amazonは販売の場や決済・配送等の仕組みを提供していますが、商品販売そのものの売主が出品者である場合、インボイス制度上の出発点も出品者になります。
経営者
Amazonに出品している場合、インボイスはAmazonが代わりに発行してくれるのでしょうか?
税理士
はい。一定の条件を満たせば、Amazonが出品者に代わって購入者へインボイスを発行・提供する仕組みがあります。
ただし、Amazonが代わりに発行してくれるからといって、出品者自身がインボイス登録をしなくてよい、という意味ではありません。
まずは、出品者自身が適格請求書発行事業者であるかどうかを確認する必要があります。
経営者
Amazonで売っているのだから、売主はAmazonではないのですか?
税理士
Amazonマーケットプレイスの場合、基本的には出品者が商品の売主です。
そのため、商品を販売しているのが出品者であれば、その売上はAmazonの売上ではなく、出品者の売上です。
Amazonが請求書やインボイスをシステム上発行していたとしても、商品販売の実際の売主までAmazonに変わるわけではありません。
ここを混同すると、売上計上やインボイスの整理を誤ります。
経営者
では、本来は出品者が購入者へインボイスを出すということですか?
税理士
原則としてはその理解です。
消費税法では、適格請求書発行事業者が国内で課税資産の譲渡等を行い、一定の事業者からインボイスの交付を求められた場合には、売手である適格請求書発行事業者がインボイスを交付することになります。
Amazonマーケットプレイスで商品を販売している場合、商品の売主が出品者であれば、本来のインボイス交付義務は出品者側にあります。
そのうえで、Amazonが出品者に代わってインボイスを発行・提供する仕組みがある、という整理になります。
経営者
Amazonが代わりに発行する仕組みというのは、どういうものですか?
税理士
Amazon Seller Centralの案内では、適格請求書発行事業者登録番号を提示した出品者に代わって、Amazonが購入者へ適格請求書を発行しているとされています。
つまり、出品者がインボイス登録番号をAmazon側へ登録しておくことで、Amazonのシステムを通じて購入者へインボイスが発行される仕組みです。
実務上は、
税務署でインボイス登録をする
T番号を取得する
Seller CentralへT番号を登録する
Amazon側で購入者向けの請求書・インボイスが発行される
という流れになります。
経営者
では、Amazonが出してくれるなら、出品者はインボイス登録しなくても大丈夫ですか?
税理士
いいえ。そこが一番重要です。
Amazonが代わりにインボイスを発行する仕組みを利用する場合でも、出品者が適格請求書発行事業者であることが前提になります。
特に媒介者交付特例を使う場合は、出品者とAmazonの双方が適格請求書発行事業者であること、出品者が取引前までに自らがインボイス登録事業者であることをAmazonへ通知していることなどが要件になります。
したがって、
Amazonがインボイスを出すから、出品者はインボイス登録不要
という整理にはなりません。
経営者
媒介者交付特例とは何ですか?
税理士
媒介者交付特例とは、委託販売や媒介のように、売主と購入者の間に媒介者等が入る取引で、一定の要件を満たす場合に、媒介者等が売主に代わってインボイスを交付できる制度です。
この特例を使うと、媒介者であるAmazonが、媒介者自身の名称・登録番号を記載したインボイスを購入者へ交付できる場合があります。
Amazonビジネスでは、この媒介者交付特例を利用し、一定の場合にAmazon自身の名称・登録番号を記載したインボイスを購入者へ交付する運用が案内されています。
経営者
うちの商品なのに、購入者のインボイスにAmazonのT番号が載っていることがあるのですか?
税理士
あります。
媒介者交付特例による場合、購入者へ交付されるインボイスに、Amazonの名称や登録番号が記載されることがあります。
ただし、それはAmazonが売主になったという意味ではありません。
商品の売主は出品者のままで、Amazonが媒介者としてインボイスの交付事務を行っている、という整理です。
したがって、売上は出品者側で計上する必要があります。
経営者
Amazonが発行したインボイスの写しは、出品者側でも保存が必要ですか?
税理士
必要です。
媒介者交付特例を使ってAmazon等が購入者へインボイスを交付した場合、媒介者は、購入者へ交付したインボイスの写しまたはその電子データを出品者へ速やかに提供する必要があります。
取引件数が多く、インボイスそのもののコピーをすべて提供することが難しい場合には、インボイスとの対応関係が明確な精算書等による方法も認められています。
出品者側でも、Amazonから提供される請求書の写し、精算データ、売上データなどを保存しておく必要があります。
経営者
未登録の出品者でもAmazonで販売はできますよね?
税理士
Amazon上で販売を継続できることと、購入者に適格請求書を交付できることは別問題です。
Amazonの案内上、登録番号を取得していない出品者でもAmazonで販売を継続できるとされています。
しかし、それは、未登録出品者の商品販売について、Amazonが出品者に代わって完全なインボイスを発行してくれるという意味ではありません。
未登録出品者の場合、購入者側で仕入税額控除に影響が出る可能性があります。
法人や個人事業主を相手に販売することが多い場合は、自社がインボイス登録すべきかを慎重に検討する必要があります。
経営者
Amazonから請求される販売手数料のインボイスとは別ですか?
税理士
別です。
ここは非常に混同しやすいところです。
商品販売に関するインボイスは、
出品者から購入者への売上
に関するものです。
一方、Amazon販売手数料、FBA手数料、広告費などに係るインボイスは、
Amazonから出品者への役務提供
に関するものです。
つまり、取引の向きが逆です。
出品者は、自社の商品販売に係るインボイス関係資料と、Amazonから請求される手数料等に係るインボイスを分けて保存する必要があります。
経営者
実務上、出品者は何を確認すればよいですか?
税理士
まず、次の点を確認してください。
自社が適格請求書発行事業者として登録済みか。
Seller Centralへ正しい登録番号を登録しているか。
Amazon側で登録番号の確認が完了しているか。
Amazonビジネスで媒介者交付特例の対象になる取引があるか。
購入者へ実際に交付される請求書・インボイスに、誰の名称と登録番号が記載されているか。
Amazonから出品者へ提供されるインボイスの写し、精算書、売上データを保存しているか。
登録取消し等があった場合に、Amazon側へ速やかに通知・登録変更しているか。
このあたりを確認しておくと、インボイス制度上の整理がかなり明確になります。
町田・相模原でAmazon出品の消費税・インボイス対応に不安がある方へ
Amazon販売では、商品販売の売上、Amazon手数料、FBA手数料、広告費、返品、ポイント、Amazonビジネスでの請求書発行など、消費税処理が複雑になりやすいです。
特にインボイス制度では、
出品者自身の登録番号
購入者へ交付されるインボイス
Amazonから出品者へ交付される手数料等のインボイス
媒介者交付特例
売上データ・精算データの保存
を分けて整理する必要があります。
町田・相模原でAmazon販売をしている法人・個人事業主の方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
町田・相模原で税理士をお探しなら、タクスリンク税理士事務所へ
要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の処理は、出品形態、Amazonビジネスの利用状況、Seller Central上の登録状態、購入者へ交付される請求書の様式、消費税の課税区分などにより異なります。Amazonのシステム仕様は変更される可能性があるため、実務処理ではSeller Central上の最新情報と実際に発行される請求書を確認してください。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。




