「タワーマンションを買えば相続税が安くなる」という話を、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
実際に検討し始めると、「もう改正されて意味がないと聞いた」「具体的に何がどう変わったのか分からない」と、情報が交錯して立ち止まってしまう方も多いようです。
結論から言うと、タワマン節税の効果は2024年の税制改正でかなり縮小しましたが、ゼロになったわけではありません。
ここでは、なぜ効果が薄れたのか、今から検討するならどこを確認すべきかを整理していきます。
なぜ「タワマン節税」が効きにくくなったのか
タワマン節税の仕組み自体はシンプルです。
マンション一棟の土地は、全戸数で持分を割った上で相続税評価額が決まるため、高層階でも低層階でも土地の評価はほとんど変わりません。
一方で市場価格は高層階になるほど上がっていきます。
この「市場価格は高いのに評価額は低い」というギャップを利用して、相続税評価額を圧縮していたのが従来のタワマン節税です。
国税庁の資料によると、こうした物件の評価乖離率(市場価格 ÷ 相続税評価額)は平均で3.16倍にも達していたとされています。
時価2億円のマンションが、相続税の計算上は6,000万円程度として扱われるようなケースもあったわけで、行き過ぎた節税だとして問題視されたのが2024年1月の改正のきっかけです。
改正後は「区分所有補正率」という仕組みが導入され、評価水準(評価乖離率の逆数)が0.6を下回る場合、相続税評価額が市場価格の60%を下回らないように補正されるようになりました。
築年数が新しく、階数が高く、上層階にある物件ほど、この補正で評価額が大きく引き上げられる傾向があります。
今から検討するなら、まず確認したい3つのこと
改正後にタワマン購入を検討するなら、次の手順で状況を整理してみてください。
1. 対象物件の評価水準を試算する
評価乖離率は「築年数」「総階数」「所在階」「敷地持分の狭さ」の4要素から算出されます。
同じタワーマンションでも、階が低い部屋や築年数が経った部屋は評価水準が0.6を超え、補正の影響を受けにくいこともあります。
物件ごとに条件が違うため、購入前に税理士へ試算を依頼するのが確実です。
2. 改正前後でどれくらい評価額が変わるか比較する
モデルケースでは、時価2億円の物件で改正前は約6,000万円だった評価額が、改正後は約8,200万円まで上昇した例が紹介されています。
差し引き2,000万円ほど評価が上がった計算になり、単純な「買うだけで節税」というシナリオは成立しにくくなっています。
それでも市場価格の40%分は評価額から差し引かれる計算になるため、現金で持つよりは相続税評価額を抑えられる余地が残っています。
3. 他の対策と組み合わせる前提で考える
小規模宅地等の特例(居住用で最大80%の評価減)や、生前贈与、生命保険の非課税枠など、他の制度と組み合わせることで初めて意味のある節税額になるケースが多くなっています。
タワマン購入単体を「節税の切り札」として考えるのではなく、相続税対策全体の一部として位置づけるのが今の現実的な進め方です。
相続税の節税、何から始める?今のうちにできる対策と落とし穴でも触れていますが、相続税対策は複数の手段を早めに組み合わせるほど選択肢が広がります。
つまずきやすいポイント・よくある誤解
「タワマン節税はもう完全に終わった」と考えてしまうのは、よくある誤解のひとつです。
実際には評価額の圧縮効果自体は残っており、条件次第では今でも一定の節税効果が見込めます。
一方で「改正前と同じ感覚で高層階・築浅の物件を選べば大丈夫」と考えるのも危険です。
まさにその条件(高層・築浅・上層階)が評価額の引き上げ幅を大きくする要因になっているためです。
もう一つ見落とされがちなのが、相続税評価額とは別に固定資産税がかかる点です。
タワーマンションは階層によって固定資産税の負担も変わる仕組みになっており、相続税だけを見て購入を決めると、保有中のコスト計算を誤ることがあります。
この点はタワーマンションの固定資産税、結局いくらになる?階層で税額が変わる仕組みと勘違いしやすいポイントで詳しく整理しているので、あわせて確認しておくと判断材料が揃います。
また、不動産を使った相続税対策への規制は今後も続く見通しです。
2026年度の税制改正大綱では、不動産小口化商品や取得から5年以内の一棟賃貸マンションについて、評価額を時価に近づける見直しが盛り込まれています。
タワマン購入とは別のスキームですが、「評価額と時価のギャップを利用した節税」全般に対して、制度側が段階的に網をかけているという流れは押さえておいた方がよいでしょう。
まとめ
タワマン節税は2024年の改正で効果が縮小しましたが、物件の条件や他の制度との組み合わせ次第では、今でも検討する価値が残っています。
購入を決める前に、対象物件の評価水準を試算し、固定資産税を含めた保有コストと合わせて確認する習慣をつけておくと、後悔のない判断につながります。
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