個人事業主の方からよく受ける質問に、「売上、収入、所得、利益は何が違うのですか?」というものがあります。
どれもお金に関する言葉なので混同しやすいですが、所得税を考えるときは、それぞれ意味が違います。
まず大きな流れとしては、次のように整理すると分かりやすいです。
売上などの収入
→ 必要経費を引く
→ 所得
→ 所得控除を引く
→ 課税所得
→ 税率をかける
→ 所得税額
つまり、売上そのものに税率をかけるわけではありません。
また、所得にそのまま税率をかけるわけでもありません。
所得税では、まず収入から必要経費を差し引いて所得を計算し、そこから基礎控除などの所得控除を差し引いて課税所得を求めます。その課税所得をもとに、所得税額を計算します。
個人事業主
売上、収入、所得、利益って、結局何が違うのでしょうか?
どれも同じような意味に見えてしまいます。
税理士
たしかに、日常会話ではかなり混同されやすい言葉です。
個人事業主の方が税金を考えるときは、まず次のように整理すると分かりやすいです。
売上は、本業の商品やサービスを販売して得る金額です。
収入は、税務上、所得計算に入れる入ってくる金額の広い概念です。
所得は、収入から必要経費などを差し引いた、税金計算のベースになる金額です。
利益は、会計や経営で使う儲けを表す言葉です。所得と近い意味で使われることもありますが、税法上の所得と必ず同じとは限りません。
個人事業主
まず、売上と収入は違うのですか?
税理士
売上は、通常、本業の商品やサービスを販売して得た金額を指します。
たとえば、飲食店なら料理や飲み物の販売代金、Web制作業なら制作報酬、コンサル業ならコンサルティング報酬が売上です。
一方、収入はもう少し広い言葉です。
税務上は、各種所得を計算するときに収入金額や総収入金額という言葉を使います。事業所得であれば、基本的には事業から得る収入をもとに所得を計算します。
一般向けには、売上は本業の販売額、収入は税務上の所得計算に入る金額全体、と考えると理解しやすいです。
個人事業主
収入というのは、実際に銀行口座へ入金された金額のことですか?
税理士
必ずしもそうではありません。
所得税法では、収入金額または総収入金額に算入すべき金額について、原則としてその年において収入すべき金額とされています。
つまり、実際に入金された日だけで判断するのではなく、いつ収入すべき状態になったのかも重要です。
たとえば、12月に仕事を完了して請求し、翌年1月に入金された場合、単純に入金日だけで翌年の収入と決めるわけではありません。
どの年の売上・収入になるかは、役務提供日、引渡日、請求内容、契約条件などを確認して判断します。
個人事業主
では、所得とは何ですか?
税理士
所得は、税金計算のベースになる金額です。
個人事業主の事業所得については、所得税法27条2項で、総収入金額から必要経費を控除した金額とされています。
一般向けに言えば、次のイメージです。
収入 − 必要経費 = 所得
たとえば、年間の売上が500万円で、事業に必要な経費が200万円だった場合、基本的な事業所得のイメージは300万円です。
ただし、青色申告特別控除などがある場合には、最終的な申告上の所得計算でさらに調整されることがあります。
個人事業主
売上500万円なら、500万円に税率をかけるわけではないのですね。
税理士
そのとおりです。
売上500万円にそのまま所得税率をかけるわけではありません。
まず、売上などの収入から必要経費を差し引きます。
たとえば、売上500万円、必要経費200万円であれば、基本的には事業所得は300万円です。
500万円 − 200万円 = 300万円
この300万円が、事業所得のベースになります。
個人事業主
では、その所得300万円に税率をかければ、所得税が出るのですか?
税理士
そこも少し違います。
所得税は、所得にそのまま税率をかけるのではありません。
所得から、基礎控除、社会保険料控除、扶養控除、配偶者控除、医療費控除などの所得控除を差し引きます。
その後に残った金額を課税所得といいます。
大まかには、次の流れです。
所得 − 所得控除 = 課税所得
この課税所得をもとに、所得税率を適用して所得税額を計算します。
個人事業主
つまり、売上と所得と課税所得は、全部違うのですね。
税理士
はい。ここは非常に重要です。
売上は、商品やサービスを販売して得る金額です。
所得は、収入から必要経費を差し引いた金額です。
課税所得は、所得から所得控除を差し引いた後の金額です。
税率をかける対象は、原則として課税所得です。
そのため、「売上がいくらなら税金はいくらですか?」という質問には、売上だけでは正確に答えられません。
経費、青色申告特別控除、社会保険料控除、扶養控除、配偶者控除、医療費控除、住宅ローン控除、源泉徴収税額、予定納税額などによって、実際の税額は変わります。
個人事業主
利益と所得はどう違いますか?
税理士
利益は、会計や経営で使う儲けを表す言葉です。
たとえば、売上から経費を引いたものを利益と呼ぶことがあります。
ただし、所得税法上の正式な所得区分を表す言葉は、利益ではなく所得です。
会計上の利益と税務上の所得は近いこともありますが、必ず同じ金額になるとは限りません。
たとえば、必要経費として認められる範囲、減価償却、家事関連費、青色申告特別控除、その他の税務上の調整によって、会計上の利益と税務上の所得に差が出ることがあります。
個人事業主
必要経費というのは、支払ったものなら何でも入れてよいのですか?
税理士
いいえ。支払ったものがすべて必要経費になるわけではありません。
所得税法37条では、必要経費について、売上原価のほか、総収入金額を得るため直接要した費用、販売費、一般管理費、その他業務について生じた費用などが定められています。
つまり、事業との関連性が重要です。
個人事業主の場合、特に注意が必要なのは、家事関連費です。
自宅兼事務所の家賃、電気代、スマートフォン代、車両費などは、事業用部分とプライベート部分が混ざりやすいため、合理的に按分して処理する必要があります。
個人事業主
全体の流れをもう一度整理すると、どうなりますか?
税理士
所得税の流れは、次のように整理できます。
まず、売上などの収入を確認します。
次に、必要経費を差し引いて所得を計算します。
さらに、基礎控除などの所得控除を差し引いて課税所得を計算します。
その課税所得に税率を適用し、必要に応じて税額控除、源泉徴収税額、予定納税額などを反映して、最終的な所得税額を計算します。
したがって、税金を考えるときに大切なのは、売上だけを見るのではなく、経費、所得控除、税額控除まで順番に整理することです。
町田・相模原で個人事業主の税金に不安がある方へ
個人事業主の確定申告では、売上、収入、所得、利益という言葉の違いを理解しておくことが重要です。
売上が増えていても、経費や所得控除の状況によって税額は変わります。
また、経費にできるものとできないものを誤って処理すると、税務調査で修正が必要になることもあります。
町田・相模原で、個人事業主の確定申告、経費処理、所得税の計算に不安がある方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
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要点
主な根拠
※本記事は、個人事業主の方に向けて、所得税の基本的な考え方を一般的に解説したものです。実際の税額は、青色申告特別控除、他の所得、所得控除、税額控除、源泉徴収税額、予定納税額、復興特別所得税、住民税、個人事業税などによって異なります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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