本案件の概要
下記の案件につき、資金調達支援を行うこととなりました。
- 資金使途 新規事業開始に伴う運転資金及び設備資金。
- 会社概要 設立5期。融資対象外事業に該当する事業。
- 融資申込先 日本政策金融公庫。
- その他 債務超過の状態。現在、融資対象外事業に該当する事業を営んでいるが、当該事業を縮小し、今後は融資対象事業に該当する事業を開始する。ローン等、代表者個人の借入あり。
本案件のポイント
この会社は、日本政策金融公庫の融資対象外事業に該当する事業を営んでいます。
本来、融資対象外事業に該当する事業を営む会社は、融資を受けることはできません。
したがって、まずは、当該事業を定款の事業目的から除外することを検討することとなります。
しかしながら、社長のお話を伺うと、まだ当該事業の顧客へのサービスが完了しておらず、完了までは当該事業と新規事業を同時並行で行わなければならないとのことでした。
日本政策金融公庫が、融資対象外事業を定めているのは、預金者から預かったお金を公共性に違背する事業に融資をすべきではないという、公共性の原則によるところが大きいといえます。
したがって、この会社が融資を受けるためには、融資を受けた資金はもっぱら融資対象事業に該当する事業の用に供されるものであることを、日本政策金融公庫に理解してもらう必要があります。
また、社長は前年に自宅を購入しており、高額の住宅ローンが残っている状態であったことも、懸念事項でした。
本案件の攻め口
上記により、
- ① 従来より営んでいた融資対象外事業に該当する事業と、今後開始する融資対象事業に該当する事業とを帳簿の上で明確に区分する旨、税務顧問契約を締結している税理士に依頼すること
- ② 融資実行後は、①の帳簿を定期的に日本政策金融公庫に提出すること
- ③ ①及び②により、融資を受けた資金が、融資対象外事業に該当する事業の用に供されないよう、税理士及び日本政策金融公庫のモニタリングを受けること
- ④ 住宅ローンの支払いは、役員報酬の範囲内で問題なく賄えること
を社長から日本政策金融公庫に説明していただきました。
本案件の結果
満額可決。
(日本政策金融公庫の担保を不要とする融資)
本案件のまとめ
日本政策金融公庫は、融資対象外事業に該当する事業へは融資を行いません。
ただし、しばしば誤解されているように、融資対象外事業に該当する事業を営む会社へは融資を行わないということではありません。
非常に難易度の高い案件ではありましたが、
- なぜ、日本政策金融公庫は融資対象外事業を定めているのか
という趣旨にまで立ち返り、しっかりと対策を講ずれば、融資対象外事業に該当する事業を営む会社であっても融資を受けられるということを証明した、弊所にとってもリーディングケースとなった案件でした。
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
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