創業融資を複数の銀行に申し込んでもよいのか

創業融資は複数の銀行に同時に申し込んでも問題ない

創業融資の審査には、

  • 日本政策金融公庫の場合で3〜4週間程度
  • 制度融資の場合で1月〜1月半程度

の時間を要します。

多くの起業家にとって、創業融資は、不可欠の資金です。

このため、一般的に、ある銀行で創業融資が否決されると、他の銀行に再び創業融資の申し込みをすることとなります。

しかしながら、この方法では、もし、当該他の銀行から創業融資を受けられることとなったとしても、資金調達までの期間は、当初の創業融資申込みから2月〜3月程度かかってしまうこととなります。

このため、あらかじめ、否決となる場合を見越し、リスクヘッジのために複数の銀行に創業融資を申し込みたいと考えることは自然ですし、特に禁止された行為でもありません

創業融資を複数の銀行に申し込む場合、申込先は日本政策金融公庫と民間銀行になる

複数の銀行に創業融資の申し込みをすること自体には全く問題はありませんが、複数の民間銀行(=民間銀行+民間銀行)に創業融資の申し込みをしても、あまり意味はありません

民間銀行にとって、創業融資は、新規顧客獲得につながる積極的に取り組みたい融資である反面、貸倒れリスクの大きい融資でもあります。

このことから、民間銀行に創業融資の申し込みをすると、信用保証協会付融資(制度融資または通常の信用保証協会付融資)の利用を勧められ、信用保証協会の保証を受けられることとなれば可決受けられなければ否決となります。

そして、どの民間銀行に創業融資を申し込んでも、保証審査を行うのは、同じ信用保証協会ですので、一度保証審査に落ちてしまったら、何行の銀行に融資の申し込みをしても、結果は変わりません。

したがって、創業融資を複数の銀行に申し込む場合には、申込先は、信用保証協会の保証審査のない日本政策金融公庫+民間銀行となります。

もし、日本政策金融公庫と民間銀行、両行で創業融資審査に通過したら

日本政策金融公庫と民間銀行に、同時に創業融資の申し込みをすると、どちらの創業融資審査も通過してしまう場合があります。

この場合には、会社は、次のいずれかを選択することとなります。

  • どちらからも創業融資を受ける
  • 事情を説明しどちらか一方を断る

創業時の事業資金は多ければ多いほど、会社の生存率は上がります。

また、どの銀行も、コストを投じて創業融資審査を行ってくれています。

申し込むだけ申し込み、融資が不要になったから断るというのでは、銀行も面白くないのは当然です。

最悪の場合、今後その銀行からは融資を受けることが困難となってしまうおそれもあります。

このため、日本政策金融公庫の創業融資と民間銀行の創業融資のどちらの審査も通過した場合には、両方から創業融資を受けることが原則です。

ただし、やむを得ずいずれかから創業融資を受ける場合については、それぞれのメリットの異同に鑑み、日本政策金融公庫または民間銀行のどちらで創業融資を受けるかを決めましょう。

日本政策金融公庫の創業融資のメリット

日本政策金融公庫の創業融資には、次のメリットがあります。

①無担保・無保証人で利用できる
②信用保証協会の枠を残すことができる

①無担保・無保証人で利用できる

民間銀行で創業融資を受ける場合には、代表者が会社の連帯保証人になる必要があります。

代表者が連帯保証人となった状態で、会社が返済不能に陥ると、会社に代わって代表者が融資の返済を続けなければなりません。

しかしながら、日本政策金融公庫の新創業融資制度は、代表者が会社の連帯保証人となることなく、利用することができます。

つまり、会社が返済不能に陥っても、会社に代わって代表者が融資の返済を続ける必要がないのです。

これが、日本政策金融公庫の創業融資の最大のメリットといえるでしょう。

②信用保証協会の枠を残すことができる

信用保証協会は、会社ごとに信用保証額の上限(=枠)を設け、この額の範囲内で信用保証を行います。

換言すれば、この枠いっぱいに信用保証を受けている会社は、中小企業の資金調達の切り札ともいえる信用保証協会付融資を受けることができなくなってしまうのです。

しかしながら、日本政策金融公庫の創業融資は、プロパー融資(=信用保証協会の保証なしで行われる融資)であるため、いざという時のために信用保証協会の保証枠を温存することができます。

民間銀行の創業融資のメリット

民間銀行の創業融資には、次のメリットがあります。

①利息や信用保証料を地方自治体に補助してもらえる(制度融資の場合)
②その銀行との間で借入・返済の実績ができ、信用が高まる

①利息や信用保証料を地方自治体に補助してもらえる(制度融資の場合)

民間銀行の創業融資は、通常、制度融資を利用して行われます。

制度融資では、会社が信用保証協会に支払う信用保証料や、銀行に支払う利息の全部または一部を、地方自治体に補助してもらうことができます。

②その銀行との間で借入・返済の実績ができ、信用が高まる

銀行から融資を受け、返済を続けていくと、その銀行からの信用が高まります。

このため、民間の銀行で創業融資を受けておくと、後に追加融資を受ける際に有利となります。

中小企業の経営に、継続的な銀行融資が不可欠ですので、この点は民間銀行から創業融資を受ける大きなメリットの一つであるということができます。

 

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末廣 大地
起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。