個人事業主が年収1000万円になったら?税金の内訳と法人成りを迷わず判断する考え方

売上が1000万円に届いた月、通帳の数字を見て「思ったより残らないな」と感じたことはありませんか。
年収1000万円と聞くと余裕のある暮らしを想像しがちですが、個人事業主の場合はそこから所得税・住民税・個人事業税、さらに消費税まで差し引かれ、手元に残る金額は会社員よりずっと少なくなるのが実情です。
何から手をつければ税負担を抑えられるのか、順を追って整理していきます。

なぜ会社員より手取りが減るのか

会社員には給与所得控除という一律の控除がありますが、個人事業主にはこの仕組みがありません。
事業所得は「売上-経費-各種控除」で計算され、そこに所得税(累進課税)・住民税(課税所得の約10%)・個人事業税(業種によって3〜5%、年290万円までは事業主控除で非課税)が課されます。
さらに売上が1000万円を超えると、原則として翌々年から消費税の課税事業者になり、納税額がもう一段増えます。
経費率30〜40%程度のケースでも、税金と社会保険料を合わせて200万〜300万円ほどが引かれ、手取りは700万円前後にとどまることが多いのです
会社員として年収1000万円を迎えた方向けの節税は年収1000万円の節税、何から手をつける?税率が上がる仕組みと今日からできる対策で整理していますが、個人事業主は税金の種類も控除の使い方もまったく別物だと考えたほうが実態に近いでしょう。

たとえば売上1000万円・経費率30〜40%で青色申告をしている場合、所得税・住民税・個人事業税・国民健康保険料・国民年金などを合わせた負担は200万円台後半になり、手取りが400万円台にとどまる試算例も見られます。
経費率や業種、家族構成によって金額は大きく変わるため、あくまで目安として捉え、実際の負担は確定申告のたびに確認しておくと安心です。

今日から見直せる節税の手順

まず着手すべきは青色申告特別控除です。
複式簿記で記帳し、e-Taxでの電子申告か電子帳簿保存の要件を満たせば、最大65万円を所得から差し引けるため、白色申告のままにしている場合はこれだけで税負担が大きく変わります。

次に経費の計上漏れがないか確認しましょう。
自宅の一部を仕事場にしているなら家賃や光熱費を使用割合に応じて家事按分し、通信費・交際費・書籍代なども事業に関連する支出は忘れずに計上します。

ここまでできたら、小規模企業共済(月1,000円〜7万円、掛金全額が所得控除)やiDeCo(個人事業主は月6.8万円まで拠出可能、こちらも全額所得控除)の活用を検討します。
どちらも老後資金を積み立てながら課税所得を圧縮できる制度です。
家族に事業を手伝ってもらっているなら、事前に届出書を提出したうえで青色事業専従者給与として適正な金額を支払い、所得を家族に分散する方法もあります。

つまずきやすいポイント

節税を優先しすぎると、確定申告書上の所得金額が下がり、事業融資や住宅ローンの審査で不利になることがあります。
この点は個人事業主の節税、やりすぎ注意|融資・住宅ローンで損しないための考え方で詳しく触れているので、資金調達を控えている方はあわせて確認しておくと安心です。

もう一つの分岐点が法人成りです。
目安としてよく挙げられるのは、事業所得(各種控除後の課税所得)が800万〜900万円を超えたあたりです。
所得税は900万円を超える部分から税率が33%に上がる一方、法人税の実効税率はおおむね23%前後で、ここで税率が逆転するためです。
加えて、資本金1,000万円未満の新設法人は消費税が最長2期免税になる、赤字の繰越期間が個人の3年に対し法人は10年と長い、といった利点もあります。
ただし法人化すると社会保険への加入義務や均等割(年間約7万円)などの固定費も発生するため、「税率だけ」で法人成りを即断するのは避けたいところです。
法人化した後に使える節税の考え方は法人の節税、何から手をつける?経営者が知っておきたい基本と落とし穴にまとめています。

まとめ

年収1000万円は個人事業主にとって税負担が重くなる分岐点であると同時に、使える節税の選択肢が増えるタイミングでもあります。
青色申告特別控除と経費計上を土台に、共済やiDeCoで所得を圧縮しつつ、法人成りのタイミングは税率だけでなく資金調達や固定費への影響もあわせて判断していきましょう。

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末廣 大地
起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。