免税事業者の方から、よく次のような質問を受けます。
「免税事業者なのに、消費税を請求してよいのでしょうか?」
結論からいうと、免税事業者であっても、消費税相当額を取引価格に上乗せして請求すること自体は問題ありません。
ただし、インボイス登録をしていない事業者は、適格請求書、いわゆるインボイスを発行することはできません。
重要なのは、「消費税相当額を請求してはいけない」のではなく、「インボイス未登録なのに、インボイスであるかのように表示してはいけない」という点です。
個人事業主
免税事業者です。
請求書に消費税を上乗せして請求してもよいのでしょうか?
税理士
はい。免税事業者であっても、消費税相当額を取引価格に上乗せして請求すること自体は問題ありません。
国税庁のインボイス制度に関するQ&Aでも、免税事業者が仕入れの際に負担した消費税相当額を取引価格に上乗せして請求することは、適正な転嫁として問題ない旨が示されています。
個人事業主
免税事業者なのに「消費税」と書くと、違法になりませんか?
税理士
請求書に消費税相当額を記載すること自体が、直ちに違法になるわけではありません。
ただし、インボイス登録をしていない場合は、適格請求書発行事業者ではありません。
そのため、登録番号を記載したり、インボイスであると誤解されるような表示をしたりすることは避ける必要があります。
実務上は、「消費税」ではなく「消費税相当額」と表示しておく方が、免税事業者であることとの関係が分かりやすく、安全です。
個人事業主
たとえば、どのように請求書を書けばよいですか?
税理士
たとえば、次のような表示が考えられます。
報酬 100,000円
消費税相当額 10,000円
合計 110,000円
このように、本体価格と消費税相当額を分けて表示することは可能です。
ただし、「適格請求書」「インボイス」「登録番号」など、インボイス発行事業者であると誤解される表示は避けてください。
個人事業主
インボイス登録をしていなくても、請求書や領収書は発行できますか?
税理士
はい。インボイス未登録であっても、通常の請求書や領収書を発行することはできます。
発行できないのは、適格請求書、つまりインボイスです。
インボイスを発行できるのは、適格請求書発行事業者に登録している事業者に限られます。
免税事業者のままでは、適格請求書発行事業者になることはできません。
個人事業主
登録番号の欄は空欄にしておけばよいですか?
税理士
はい。インボイス登録をしていない場合は、登録番号を記載してはいけません。
特に、架空の登録番号、他人の登録番号、Tから始まる13桁の番号に見えるような表示は危険です。
消費税法では、適格請求書発行事業者以外の者が、適格請求書であると誤認されるおそれのある表示をした書類を交付することは禁止されています。
違反した場合には、罰則の対象になる可能性があります。
個人事業主
取引先から「免税事業者なのに消費税を請求するのはおかしい」と言われた場合はどう説明すればよいですか?
税理士
「免税事業者は消費税相当額を価格に上乗せしてはいけない」というルールではありません。
免税事業者であっても、仕入れや経費の支払いでは消費税相当額を負担しています。
その負担分を取引価格に反映させることは、国税庁Q&Aでも問題ないとされています。
ただし、取引先が課税事業者の場合、インボイス未登録事業者からの仕入れについては、取引先側の仕入税額控除に制限が生じます。
そのため、価格交渉やインボイス登録の要否については、取引先との関係も踏まえて判断する必要があります。
個人事業主
取引先は、こちらがインボイス未登録だと消費税を控除できないのですか?
税理士
インボイス制度の下では、原則として、買手が仕入税額控除を受けるためには、帳簿とインボイス等の保存が必要です。
そのため、インボイス未登録事業者からの課税仕入れについては、原則として全額の仕入税額控除はできません。
ただし、制度開始後は経過措置が設けられています。
TLA回答の前提では、2026年8月14日現在は80%控除の期間中とされています。また、令和8年度税制改正により、その後の控除割合が段階的に見直される旨が示されています。
取引先への説明では、取引時期や取引先の課税期間によって扱いが変わる可能性があるため、個別確認が必要です。
個人事業主
BtoC、つまり一般のお客様相手の場合も同じですか?
税理士
一般のお客様相手の場合も、免税事業者が消費税相当額を価格に含めること自体は問題ありません。
ただし、一般消費者向けの価格表示では、総額表示義務との関係も問題になります。
そのため、店頭表示、チラシ、ホームページ、料金表などで一般消費者向けに価格を表示する場合は、総額で分かる表示にしておく必要があります。
一方、事業者向けの請求書では、相手方の仕入税額控除への影響が問題になりやすいため、インボイス登録の有無や請求書の表示方法に特に注意が必要です。
個人事業主
結局、免税事業者の請求書では何に気をつければよいですか?
税理士
まず、消費税相当額を請求すること自体は可能です。
ただし、インボイス未登録であるにもかかわらず、インボイスのように見える請求書を発行してはいけません。
登録番号欄は設けない、架空の番号を書かない、他人の登録番号を使わない、適格請求書という表示をしない、という点が重要です。
請求書上は、「消費税相当額」と表示しておくと、免税事業者としての立場と整合しやすくなります。
取引先が課税事業者の場合は、相手方の仕入税額控除に影響するため、必要に応じてインボイス登録をするかどうかも検討してください。
町田・相模原でインボイス対応に不安がある事業者の方へ
インボイス制度では、免税事業者であっても請求書を発行することはできます。
しかし、登録番号の記載、消費税相当額の表示、取引先の仕入税額控除への影響など、請求書の書き方を誤ると、取引先とのトラブルや税務上のリスクにつながります。
町田・相模原で、免税事業者のまま取引を続けるべきか、インボイス登録をすべきか、請求書の表示をどうすべきか迷っている方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
町田・相模原で税理士をお探しなら、タクスリンク税理士事務所へ
要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の処理は、免税事業者に該当するか、インボイス登録の有無、取引先の属性、取引時期、請求書の具体的な記載内容などにより異なります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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