個人事業主の方からよく受ける質問に、「所得税・住民税・国民健康保険料は経費になりますか?」というものがあります。
結論からいうと、個人事業主本人が負担する所得税・住民税・国民健康保険料は、いずれも事業所得の必要経費にはなりません。
ただし、国民健康保険料は、経費ではなく、確定申告で社会保険料控除として所得から控除できます。
この「経費にはならないが、社会保険料控除にはなる」という違いを理解しておかないと、青色申告決算書や収支内訳書の経費欄に誤って入れてしまうことがあります。
個人事業主
個人事業主です。
所得税、住民税、国民健康保険料を払っていますが、これは経費になりますか?
税理士
個人事業主本人の所得税・住民税・国民健康保険料は、いずれも事業所得の必要経費にはなりません。
ただし、国民健康保険料については、経費ではなく、確定申告で社会保険料控除として所得から控除します。
個人事業主
3つとも経費にはならないのですか?
税理士
はい。個人事業主本人が負担するものについては、次の整理になります。
所得税は、必要経費にも所得控除にもなりません。
住民税も、必要経費にも所得控除にもなりません。
国民健康保険料・国民健康保険税は、必要経費にはなりませんが、社会保険料控除の対象になります。
| 支払項目 | 必要経費 | 所得控除 |
|---|---|---|
| 所得税 | 不可 | 不可 |
| 住民税 | 不可 | 不可 |
| 国民健康保険料・国民健康保険税 | 不可 | 社会保険料控除の対象 |
個人事業主
国民健康保険料は控除できるのに、なぜ経費ではないのですか?
税理士
事業所得の必要経費は、売上を得るために直接必要な費用や、事業を行うために生じた費用です。
一方、国民健康保険料は、個人本人や生計を一にする親族の社会保険料として支払うものです。
そのため、事業の経費として青色申告決算書や収支内訳書に入れるのではなく、確定申告書の社会保険料控除として処理します。
個人事業主
所得税や住民税は、自分の事業で得た利益に対して払う税金ですよね。
それでも経費にはならないのですか?
税理士
なりません。
所得税法では、所得税や住民税は、原則として必要経費に算入しないことが明記されています。
所得税は、事業の利益を計算した後に、その所得に対して課される税金です。
住民税も、個人の所得に対して課される地方税です。
そのため、事業所得を計算するための必要経費には入れません。
個人事業主
事業用口座から所得税や住民税、国民健康保険料を払ってしまった場合はどう処理しますか?
税理士
事業用口座から支払った場合でも、個人事業主本人の所得税・住民税・国民健康保険料は、原則として事業主貸で処理します。
たとえば、国民健康保険料40万円を事業用口座から支払った場合、帳簿上は次のように考えます。
事業主貸 400,000円 / 普通預金 400,000円
この40万円は、青色申告決算書の経費には入れません。
その代わり、確定申告書の社会保険料控除として40万円を控除します。
個人事業主
家族分の国民健康保険料も一緒に払っている場合はどうなりますか?
税理士
本人または生計を一にする親族が負担すべき社会保険料を、実際に支払った場合は、社会保険料控除の対象になります。
そのため、生計を一にする家族分の国民健康保険料をあなたが支払っている場合は、あなたの社会保険料控除として処理できる可能性があります。
一方で、誰が実際に支払ったのか、生計を一にしている親族なのかは確認が必要です。
個人事業主
税金は全部経費にならないと考えてよいですか?
税理士
そこは注意が必要です。
所得税や住民税は経費になりませんが、個人事業税は原則として必要経費になります。
また、事業用資産にかかる固定資産税や、自動車税などについても、事業に使っている部分があれば、必要経費になる場合があります。
つまり、「税金だから全部経費にならない」のではなく、税金の種類によって扱いが違います。
所得税、住民税、国民健康保険料と、個人事業税や事業用資産の固定資産税を混同しないようにしてください。
個人事業主
まとめると、どう処理すればよいですか?
税理士
次のように整理してください。
所得税は、経費にしません。事業用口座から払った場合は事業主貸です。
住民税も、経費にしません。事業用口座から払った場合は事業主貸です。
国民健康保険料は、経費にはしません。事業用口座から払った場合は事業主貸です。ただし、確定申告書で社会保険料控除として控除します。
判断に迷いやすいのは、国民健康保険料です。
「控除できるけれど、経費ではない」と覚えてください。
町田・相模原で個人事業主の確定申告に不安がある方へ
個人事業主の確定申告では、所得税、住民税、国民健康保険料、個人事業税、固定資産税など、似たような支払いでも税務上の扱いが異なります。
特に、国民健康保険料は控除できる支払いですが、事業所得の経費ではありません。
この区分を誤ると、青色申告決算書の経費と確定申告書の所得控除が混在し、申告内容が分かりにくくなってしまいます。
町田・相模原で個人事業主の確定申告や経理処理に不安がある方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
町田・相模原で税理士をお探しなら、タクスリンク税理士事務所へ
要点
主な根拠
※本記事は、個人事業主本人の所得税・住民税・国民健康保険料の一般的な取扱いを解説したものです。従業員に係る社会保険料の事業主負担分、個人事業税、固定資産税、消費税などは取扱いが異なります。実際の申告では、支払内容と税目を確認して処理してください。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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