取引先が、自社の経費を代わりに支払ってくれることがあります。
たとえば、本来はA社が負担すべき経費を、取引先であるB社が一時的に支払い、後日A社がB社へ精算するようなケースです。
この場合、実際に商品やサービスを提供したC社から発行されるインボイスの宛名が、支払いをしたB社になっていることがあります。
では、A社はそのB社名義のインボイスをもとに、仕入税額控除を受けることができるのでしょうか。
結論としては、一定の書類を整えれば、A社で仕入税額控除できる可能性があります。
ただし、B社名義のインボイスだけを保存しても、原則として足りません。
経営者
取引先が、うちの経費を代わりに払ってくれました。
でも、インボイスの宛名はその取引先名義になっています。
この場合でも、うちで仕入税額控除できますか?
税理士
はい。一定の書類を整えれば、自社で仕入税額控除できる可能性があります。
ただし、取引先名義のインボイスだけを保存しても、原則として自社の仕入税額控除の書類としては足りません。
立替払いをした取引先から、立替金精算書などを発行してもらい、その経費が実際には自社の課税仕入れに係るものであることを明らかにする必要があります。
経営者
つまり、元のインボイスと立替金精算書をセットで保存するということですか?
税理士
基本形はそのとおりです。
たとえば、A社が負担すべき経費をB社が立替払いし、実際の商品やサービスの提供者がC社である場合、A社は次の書類を保存します。
C社がB社宛てに発行したインボイスの写しと、B社がA社宛てに作成した立替金精算書です。
この2つを関連付けて保存することで、B社宛てのインボイスが、実際にはA社の課税仕入れに関係するものであることを説明できるようにします。
経営者
立替金精算書には、何を書いてもらえばよいですか?
税理士
少なくとも、自社が負担する金額、取引内容、税率ごとの金額、消費税額等、実際の仕入先が分かるようにしておく必要があります。
特に重要なのは、実際に商品やサービスを提供したC社の名称と登録番号です。
立替払いの場合、課税仕入れの相手方は、立替払いをしたB社ではなく、実際に商品やサービスを提供したC社だからです。
経営者
B社の登録番号を書いてもらえばよいのではないのですか?
税理士
そこは間違えやすいところです。
純粋な立替払いであれば、確認すべき登録番号は、立替払いをしたB社の登録番号ではありません。
実際に商品やサービスを提供したC社の登録番号です。
国税庁の取扱いでも、立替者自身の登録番号を立替金精算書に記載する必要はないとされています。
大事なのは、A社側でC社の名称と登録番号を確認できる状態にしておくことです。
経営者
C社の名称や登録番号は、必ず立替金精算書に印字してもらう必要がありますか?
税理士
必ずしも、立替金精算書そのものに印字されていなければならないわけではありません。
立替金精算書に記載する方法のほか、別紙で通知する方法や、継続的な取引について契約書などで明確にしておく方法も考えられます。
ただし、後から見たときに、どの仕入先のどの登録番号に基づく課税仕入れなのかを確認できる状態にしておく必要があります。
経営者
具体例でいうと、どのような処理になりますか?
税理士
たとえば、A社が使用する電気料金11,000円を、取引先のB社がいったん支払ったとします。
C電力会社がB社宛てにインボイスを発行し、B社が11,000円を立替払いし、その後A社がB社へ11,000円を精算するケースです。
この場合、A社が単に「B社宛て11,000円」のC電力会社のインボイスだけを保存しても、原則としてA社宛てのインボイスとはいえません。
そこで、B社からA社宛てに立替金精算書を発行してもらい、A社負担分の電気料金、金額、消費税額、仕入先であるC電力会社を確認できるようにします。
そして、元のインボイスと立替金精算書を関連付けて保存します。
経営者
複数の会社分をB社がまとめて払っている場合でも、元のインボイスのコピーが必要ですか?
税理士
原則としては、元のインボイスの写しと立替金精算書をセットで保存する形が分かりやすいです。
ただし、多数の会社分を一括して支払っていて、元のインボイスのコピーを各社に交付することが難しい場合には、立替者であるB社が元のインボイスを保存し、A社側では一定事項を確認できる立替金精算書だけを保存する方法も認められています。
この場合でも、A社側で仕入先の名称、登録番号、税率ごとの金額、消費税額等を確認できるようにしておくことが必要です。
経営者
B社がインボイス登録事業者でない場合はどうなりますか?
税理士
純粋な立替払いであれば、B社が登録事業者かどうかだけで直ちに仕入税額控除ができなくなるわけではありません。
なぜなら、立替払いの場合、A社の課税仕入れの相手方はB社ではなく、実際に商品やサービスを提供したC社だからです。
したがって、C社が適格請求書発行事業者であり、C社のインボイスと立替金精算書などからA社の負担分を確認できるのであれば、一定の要件のもとでA社が仕入税額控除を受けられる可能性があります。
経営者
では、B社から請求書をもらえば、それでよいということですか?
税理士
そこは取引の実態によります。
B社が単にA社のために立替払いをしただけであれば、B社から受け取るべきものは、基本的には立替金精算書です。
一方で、B社が自らサービスを仕入れ、それをA社へ再提供している場合や、B社がA社へ別の役務を提供している場合には、単なる立替払いではなく、B社からA社への課税取引になる可能性があります。
その場合は、B社がA社に対してインボイスを発行する必要があるケースもあります。
したがって、最初に確認すべきなのは、「立替金」なのか、「B社からA社への再請求・再販売・役務提供」なのかという取引実態です。
経営者
実務では、何を確認すればよいですか?
税理士
まず、元の仕入先が誰なのかを確認します。
次に、その仕入先が適格請求書発行事業者であるか、登録番号を確認します。
そのうえで、元のインボイスの写しと、立替者が作成した立替金精算書を保存します。
立替金精算書には、自社の負担分、取引内容、税率ごとの金額、消費税額等が分かるようにしておきます。
また、帳簿上も、課税仕入れの相手方を実際の仕入先であるC社として整理できるようにしておくことが重要です。
町田・相模原でインボイス対応に不安がある方へ
インボイス制度では、請求書を保存しているつもりでも、実際には仕入税額控除の要件を満たしていないケースがあります。
特に、立替払い、共同経費、グループ会社間の精算、取引先による一括支払いなどは、元のインボイスと立替金精算書の関係を整理しなければなりません。
町田・相模原で、インボイス対応、立替金精算書、仕入税額控除の確認に不安がある方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
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要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の処理は、契約関係、支払実態、立替金精算書の記載内容、元のインボイスの保存状況、仕入先の登録状況などにより異なります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。




