会社の青色申告は、一度承認を受ければ、毎事業年度ごとに申請し直す制度ではありません。
原則として、その後の事業年度にも青色申告の承認は継続します。
ただし、青色申告は「一度承認されたら永久に安全」という制度でもありません。期限後申告が続いた場合、帳簿書類の備付け・記録・保存に重大な問題がある場合、隠蔽・仮装がある場合などには、税務署長から青色申告の承認を取り消されることがあります。
特に法人の場合、青色申告が取り消されると、欠損金の繰越し、欠損金の繰戻し還付、特別償却、税額控除などに影響することがあります。
経営者
会社の青色申告は、一度承認されたらずっと使えるのでしょうか?
取り消されたりすることはありますか?
税理士
一度承認されれば、毎年あらためて申請し直す必要はありません。
法人税法では、青色申告の承認申請について、「当該事業年度以後の各事業年度」について青色申告をしようとする場合の申請として定められています。
そのため、青色申告は毎期更新制ではなく、承認後は原則として継続します。
ただし、取消事由に該当して税務署長から取消処分を受けた場合や、法人自身が青色申告を取りやめた場合には、その効力を失います。
経営者
青色申告が取り消されるのは、どのような場合ですか?
税理士
法人税法127条では、主に次のような場合が青色申告承認の取消事由とされています。
帳簿書類の備付け、記録、保存が所定の方法に従っていない場合。
税務署長から帳簿書類について指示を受けたにもかかわらず、その指示に従わない場合。
帳簿書類に取引を隠蔽または仮装して記録するなど、帳簿全体の真実性を疑う相当な理由がある場合。
確定申告書を提出期限までに提出しなかった場合です。
つまり、帳簿がきちんと作成・保存されていない場合や、期限内申告ができていない場合、不正な経理処理がある場合には、青色申告が取り消されるリスクがあります。
経営者
期限後申告を1回しただけで、すぐに青色申告は取り消されますか?
税理士
ここは、法律上の取消事由と、国税庁の実務運用を分けて理解する必要があります。
法人税法127条では、確定申告書を提出期限までに提出しなかったこと自体が、青色申告承認の取消事由とされています。
ただし、国税庁の事務運営指針では、期限後申告については、原則として2事業年度連続して期限内に確定申告書の提出がない場合に、2事業年度目以後について取消しを行う取扱いとされています。
そのため、通常は「1回の期限後申告で直ちに取消し」とは限りません。
もっとも、悪質な事情がある場合や、他の取消事由もある場合には、形式的に2期連続かどうかだけで判断されるとは限らないため注意が必要です。
経営者
帳簿があれば大丈夫ですか?
税務調査で見せられなかった場合はどうなりますか?
税理士
帳簿が物理的に存在するだけでは十分とはいえません。
青色申告法人には、帳簿書類を備え付け、取引を記録し、保存する義務があります。
国税庁の事務運営指針では、税務調査で帳簿書類の提示を求められたにもかかわらず、再三の説得にも応じず提示しない場合には、帳簿書類の備付け等がないものとして、青色申告承認の取消しが問題になることがあります。
青色申告の要件としては、帳簿を作ることだけでなく、保存し、調査時に提示できる状態にしておくことが重要です。
経営者
隠蔽や仮装があると、どの程度で取り消されるのでしょうか?
税理士
国税庁の事務運営指針では、隠蔽・仮装について代表的な基準が示されています。
たとえば、不正所得金額が更正所得金額の50%を超え、かつ500万円以上である場合などは、青色申告承認取消しの対象となり得ます。
不正欠損金額についても、一定の計算によって50%超・500万円以上となる場合が基準として示されています。
また、帳簿不備等により、推計課税によらなければ適正な所得金額を計算できないような状態も問題になります。
さらに、二重帳簿、継続的な隠蔽・仮装、基準を意図的にわずかに下回るような過少申告の反復などについては、形式的な数値基準だけでなく、実態を踏まえて取消しが検討される可能性があります。
経営者
もし青色申告が取り消された場合、いつから白色申告扱いになるのでしょうか?
税理士
通常法人の場合、青色申告承認の取消しが行われると、原則として取消原因となった事業年度まで遡ります。
つまり、取消原因となった事業年度開始の日以後に提出された青色申告書は、青色申告書以外の申告書、つまり白色申告書として扱われることになります。
ここが大きなリスクです。
青色申告の取消しは、単に将来の申告が白色になるだけではありません。取消対象年度まで遡って、青色申告を前提に受けていた制度の適用を見直す必要が出ることがあります。
経営者
青色申告が取り消されると、繰越欠損金は全部消えてしまうのでしょうか?
税理士
「全部消える」と一括りに考えるのは危険です。
青色申告が取り消された年度に発生した赤字については、その年度が白色申告扱いになるため、通常の青色欠損金として繰り越せなくなる可能性があります。
一方で、取消年度より前の、有効な青色申告年度に発生した欠損金まで当然に全部消滅するわけではありません。
国税庁も、有効な青色申告年度に発生した欠損金については、その後の確定申告書が白色申告書となっても、一定の要件の下で繰越控除できる旨を示しています。
そのため、実務では、どの事業年度が取消対象年度なのか、どの年度に欠損金が発生したのかを分けて確認する必要があります。
経営者
欠損金の繰戻し還付にも影響しますか?
税理士
影響する可能性があります。
法人税法80条の欠損金の繰戻し還付は、原則として、欠損事業年度について青色申告書である確定申告書を期限内に提出していることなどが要件になります。
そのため、青色申告の取消しや期限後申告があると、欠損金の繰戻し還付を受けられるかどうかにも影響します。
青色申告の取消しがある場合は、繰越欠損金だけでなく、繰戻し還付、特別償却、税額控除など、青色申告を前提とする制度を個別に確認する必要があります。
経営者
取り消された後、もう一度青色申告に戻ることはできますか?
税理士
再度、青色申告の承認申請をすることは可能です。
ただし、取消通知を受けた日から1年以内に青色申告承認申請書を提出した場合、その申請は税務署長による却下事由になります。
ここで注意すべきなのは、「1年たてば自動的に青色申告に戻る」という制度ではないことです。
再び青色申告にしたい場合は、再申請が必要です。また、原則として、青色申告をしようとする事業年度開始の日の前日までに申請する必要があります。
そのため、取消通知を受けた日、決算期、次に青色申告にしたい事業年度の開始日を組み合わせて、最短でいつから青色申告に戻れるかを判断します。
経営者
2026年6月30日に青色申告取消しの指針が改正されたと聞きました。何が変わったのでしょうか?
税理士
令和8年、つまり2026年6月30日に、国税庁は「法人の青色申告の承認の取消しについて」という事務運営指針を改正しています。
ただし、この改正は、従来の2期連続期限後申告や、隠蔽・仮装に関する50%・500万円基準などを全面的に変更したものではありません。
新旧対照表上、従来の取消基準1から7自体は変更されていません。
今回の改正では、法人税法施行規則59条の2に定められた「関連者間取引に係る書類の整理保存の特例」との関係が追加されています。
一定の関連者間取引について、保存すべき書類に不備がある場合には、同日付の専用の事務運営指針を踏まえて、青色申告承認取消しの要否を判断するという整理が加えられました。
経営者
関連者間取引の書類に不備があると、すぐに青色申告が取り消されるのですか?
税理士
直ちに取り消す運用ではありません。
令和8年6月30日に公表された関連者間取引に係る書類保存の事務運営指針では、調査担当者が不足内容を具体的に示し、合理的な期間を設定して、取得、作成、提示を求めることとされています。
そのうえで、違反の程度や是正可能性などを踏まえて、青色申告承認取消しの要否を判断します。
また、違反が軽微な場合には、取消しではなく改善指導にとどめることができる旨も示されています。
ただし、軽く見てよいという意味ではありません。関連会社との管理料、業務委託料、知的財産使用料などがある法人では、保存すべき書類の確認が必要です。
経営者
グループ通算制度を使っている会社も同じですか?
税理士
グループ通算制度の通算法人については、通常法人と異なる特則があります。
法人税法127条3項・4項により、取消しの効力時期などに特則が設けられているため、通常法人の説明をそのまま当てはめることはできません。
通算法人の場合は、個別に確認が必要です。
経営者
結局、会社としては何に注意すればよいですか?
税理士
まず、期限内申告を徹底することです。
次に、帳簿書類を作成し、保存し、税務調査で提示できる状態にしておくことです。
そして、売上除外、架空経費、二重帳簿など、帳簿全体の真実性を疑われるような処理を絶対に避けることです。
さらに、グループ会社や関係会社との取引がある場合には、関連者間取引に係る書類の保存義務も確認する必要があります。
青色申告の取消しは、税務上の特典を失うだけでなく、過去年度に遡って影響する可能性があります。実際に期限後申告、帳簿不備、取消通知がある場合は、早めに税理士へ相談してください。
町田・相模原で法人の青色申告・期限後申告に不安がある方へ
法人の青色申告は、一度承認されれば原則として継続します。
しかし、期限後申告、帳簿不備、税務調査での帳簿提示拒否、隠蔽・仮装などがあると、青色申告の承認取消しが問題になります。
特に、法人の青色申告が取り消されると、欠損金の繰越し、欠損金の繰戻し還付、青色申告を前提とする各種制度に影響することがあります。
町田・相模原で、法人の期限後申告、帳簿整理、青色申告の取消しリスク、欠損金の取扱いに不安がある方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
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要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の判断は、法人の決算期、期限後申告の回数、帳簿書類の保存状況、税務署からの通知の有無、隠蔽・仮装の有無、通算法人該当性、関連者間取引の有無などにより異なります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。
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