個人事業主が、配偶者や親族を青色事業専従者として給与を支払っている場合、毎月の給与とは別にボーナスを払えるのか悩むことがあります。
結論からいうと、青色事業専従者にボーナスを支給すること自体は可能です。要件を満たせば、そのボーナスも事業所得などの必要経費にできます。
ただし、通常の従業員賞与のように、利益が出たから年末に追加で100万円を払う、という処理を自由にできるわけではありません。
青色事業専従者給与は、税務署へ提出した届出書の内容と、実際の仕事内容・勤務状況に照らして判断されます。
個人事業主
青色事業専従者にしている妻に、ボーナスを払いたいです。
ボーナスも経費になりますか?
税理士
はい。青色事業専従者にボーナスを支給すること自体は可能です。
ただし、必要経費にするには、税務署へ提出している青色事業専従者給与の届出書に沿って支給する必要があります。
特に、賞与の支給時期や金額、算定基準を届け出ているかが重要です。
個人事業主
毎月の給与は届け出ています。
ボーナスも別に届け出が必要なのですか?
税理士
必要です。
青色事業専従者給与は、届出書に記載されている方法に従って、記載されている金額の範囲内で支給することが前提です。
国税庁の青色事業専従者給与に関する届出書にも、毎月の給与とは別に、賞与の支給期や支給の基準を記載する欄があります。
そのため、賞与を経費にしたい場合は、あらかじめ賞与の支給時期や金額、算定基準を届出書に記載しておくことが重要です。
個人事業主
たとえば、月給20万円、賞与は7月と12月に各20万円と届け出ていればよいですか?
税理士
その内容で届け出ており、実際にも7月と12月に各20万円を支給しているのであれば、届出内容との整合性は取りやすくなります。
ただし、それだけで必ず経費になるわけではありません。
青色事業専従者給与は、実際の労務の対価として相当な金額であることも必要です。
勤務日数、勤務時間、仕事内容、責任の程度、事業の規模、収益状況、他の従業員や同業同規模の給与水準などから見て、相当な範囲かどうかを確認します。
個人事業主
届出書の賞与欄が空欄なのに、年末に利益が出そうなのでボーナスを払うのは危ないですか?
税理士
かなり注意が必要です。
届出書に賞与の記載がないのに、年末に突然大きな賞与を支給すると、届出書に記載した方法に従った支給とはいえないリスクがあります。
さらに、利益が出たから節税のために支給した、という事情が強い場合には、労務の対価として相当かどうかも問題になります。
青色事業専従者給与は、単に実際に支払えば経費になるものではありません。
個人事業主
年間総額が届出額以内なら、月給でも賞与でも自由に分けてよいわけではないのですか?
税理士
自由に分けてよいわけではありません。
所得税法57条では、届出書に記載されている方法に従って支給し、記載されている金額の範囲内であることが求められています。
そのため、年間総額だけを見て、届出額以内だから問題ないと判断するのは危険です。
給与の金額だけでなく、支給期や支給方法も届出内容と整合しているかを確認する必要があります。
個人事業主
これから賞与を追加したい場合はどうすればよいですか?
税理士
現在の届出書に賞与の記載がない場合や、届出内容と異なる賞与を支給したい場合は、変更届出書の提出を検討します。
所得税法施行規則36条の4第2項では、給与の金額の基準を変更する場合には、遅滞なく変更届出書を提出することとされています。
実務上は、賞与の支給期、金額、算定基準を明確にしたうえで、変更届出書を整備し、その届出内容に従って支給する流れが安全です。
個人事業主
すでに届出にないボーナスを払ってしまった場合は、後から変更届を出せば大丈夫ですか?
税理士
後から変更届を出せば当然に救済される、とまではいえません。
変更届出書は、給与の金額の基準を変更する場合に遅滞なく提出するものです。
すでに支給済みの届出外賞与について、後日の変更届だけで当然に必要経費にできると判断するのは危険です。
この場合は、支給時期、支給額、支給理由、従前の届出内容、実際の勤務実態を確認したうえで、個別に判断する必要があります。
個人事業主
ボーナスが高すぎると否認されることもありますか?
税理士
あります。
青色事業専従者給与として必要経費になるのは、労務の対価として相当と認められる金額に限られます。
たとえば、月給10万円で賞与の届出もない専従者に、年末だけ突然200万円の賞与を支給するようなケースでは、届出との不整合だけでなく、仕事内容や勤務時間に照らして高すぎないかが問題になります。
勤務実態に比べて過大な金額であれば、その全部または一部が必要経費として認められない可能性があります。
個人事業主
妻は経理や請求書作成、電話対応、入金確認をかなり手伝っています。
その場合は説明しやすいですか?
税理士
説明しやすくなります。
ただし、口頭で手伝っているというだけでは弱いので、仕事内容や勤務状況を説明できるようにしておくことが重要です。
具体的には、担当業務、勤務日数、勤務時間、資格や経験、責任の範囲、他の従業員がいる場合の給与水準などを整理しておきます。
青色事業専従者給与は、家族への支払いであるため、通常の外部従業員よりも、金額の妥当性を説明できる資料が重要になります。
個人事業主
ボーナスを払った場合、妻側ではどうなりますか?
税理士
青色事業専従者が受け取る給与や賞与は、専従者本人の給与所得になります。
そのため、支給する側では源泉所得税の処理も確認する必要があります。
また、年末調整の対象になるか、源泉徴収票の作成が必要かなども、通常の給与と同じように確認してください。
個人事業主
結局、青色事業専従者にボーナスを払うときは、何を確認すればよいですか?
税理士
まず、現在提出している青色事業専従者給与に関する届出書を確認してください。
次に、賞与欄に支給期や支給額、算定基準が記載されているかを確認します。
そのうえで、実際の支給が届出内容どおりか、届出額の範囲内か、勤務内容や勤務時間に照らして相当な金額かを確認します。
届出外の賞与、多額の賞与、決算対策として急に決めた賞与については、安易に経費処理せず、税理士に確認した方が安全です。
町田・相模原で青色事業専従者給与に不安がある方へ
青色事業専従者給与は、家族に給与を支払える便利な制度ですが、届出書の内容、支給時期、金額の相当性を誤ると、必要経費として認められないリスクがあります。
特に、賞与を支給する場合は、毎月の給与以上に、届出書の記載内容との整合性が重要です。
町田・相模原で、配偶者や親族への給与・賞与の支給、青色事業専従者給与届出書、変更届出書の作成に不安がある方は、タクスリンク税理士事務所にご相談ください。
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要点
主な根拠
※本記事は、一般的な税務上の取扱いを解説したものです。実際の処理は、届出書の記載内容、賞与の支給時期、支給額、勤務実態、事業規模、過去の届出状況などにより異なります。
Author Profile
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
上智大学法学部法律学科卒。




