創業融資審査に落ちてしまったら
しばしば、日本政策金融公庫の創業融資審査に落ちてしまった方から、再び創業融資にチャレンジすることは可能かというご相談を受けます。
結論からいえば、創業融資審査に落ちてしまった方が、二度と創業融資審査を受けられないという決まりはありません。
また、巷で言われるように、一度創業融資審査に落ちてしまったら、半年間は創業融資を受けることができないという決まりもありません。
創業融資審査に落ちるのには、必ず理由があります。
もし、創業融資審査に落ちてしまっても、その理由を明らかにし、これを解消した後に再度申し込みをすれば、創業融資を受けられる可能性は充分にあるのです。
なお、本記事では、日本政策金融公庫の創業融資審査に落ちてしまった方が、再度申し込みを行い日本政策金融公庫で創業融資を受けるための対策をご紹介しますが、無担保・無保証による創業融資にこだわらない場合には、日本政策金融公庫だけでなく、制度融資も検討すると良いでしょう。
制度融資には、代表者の連帯保証が求められるというデメリットがある反面、金利や信用保証料の全部または一部を地方公共団体に補助してもらえるというメリットがあります。
詳しくは、「制度融資とは」をご参照ください。
日本政策金融公庫の創業融資審査に落ちてしまう主なパターンとその解決策
次が、日本政策金融公庫の創業融資審査に落ちてしまう方の主なパターンです。
もし、創業融資審査に落ちてしまった方で、次のいずれかに該当する方は、下記を参考に原因を解消し、再度創業融資の申し込みに臨みましょう。
- 信用情報に問題がある方
- 斯業経験の乏しい方
- 自己資金が不足している方
- 創業計画書に問題がある方
- 面談の対策が不充分な方
- 税金や公共料金の滞納がある方
- 融資の対象外業種を営んでいる方
1. 信用情報に問題がある方
日本政策金融公庫では、創業融資審査において、個人事業の場合には個人事業主、法人の場合には代表取締役の信用情報を照会することがあります。
ここで、支払い遅延等の金融事故の履歴があると、創業融資審査通過が困難となってしまいます。
金融事故に係る情報は、その内容により5年〜10年は信用情報に履歴として記載され続けます。
この期間が経過するのを待って再度創業融資の申し込みをするのが最も安全ですが、それまで待つことができない場合には、その記載の原因となった支払い遅延等を解消することで、減点を最小限に抑えることができます。
2. 斯業経験の乏しい方
日本政策金融公庫は、創業する事業と同種または類似の事業に携わっていた経験、すなわち斯業経験がある方ほど、事業を成功させる可能性が高いと判断します。
換言すれば、斯業経験がない方は、事業を成功させる可能性が乏しいと判断され、創業融資審査通過が困難となってしまいます。
アルバイト勤務も、斯業経験となりますので、創業までに時間をかけられる方は、この方法で斯業経験を積み、再度創業融資の申し込みをすると良いでしょう。
また、創業までに時間をかけられない方については、斯業経験のある方を従業員として雇用することで、減点を最小限に抑えることができます。
3. 自己資金が不足している方
日本政策金融公庫の創業融資審査において、自己資金の金額は、創業者の熱意を図る尺度として用いられます。
このため、あまりに自己資金の乏しい方は、創業への熱意が乏しいと判断され、創業融資を受けることが困難となってしまいます。
なお、自己資金には、自身で蓄積した預金のほか、親から贈与を受けた資金や、車等の売却代金、退職金等も含まれます(→日本政策金融公庫の創業融資における自己資金とは)。
新創業融資制度の利用要件には、自己資金は創業資金総額の10分の1という金額が掲げられていますが、日本政策金融公庫の公表している統計によれば、各年の創業者の金融機関からの資金調達額は、自己資金の2倍から3倍の金額で推移しています。
上記の10分の1はあくまでも必要最低限の金額と捉え、少しでも多くの自己資金を準備することが重要です。
4. 創業計画書に問題がある方
実績に基づき作成される決算書とは異なり、創業計画書は見込みに基づき作成します。
しかしながら、いくら見込みとはいっても、根拠のないバラ色の創業計画書では日本政策金融公庫を納得させ、創業融資を受けることはできません。
日本政策金融公庫では、創業融資審査において、「小企業の経営指標」という独自調査に基づくデータを参照して、提出された創業計画が著しく業界平均とかけ離れていないかをチェックします。
この「小企業の経営指標」は、日本政策金融公庫のホームページにおいて公表されていますので、こちらを参考に創業計画書を作成することをおすすめします。
このほか、前職が創業する事業と同種または類似の業種である場合には前職の実績を経費計画や販売計画の根拠とする、あるいは開業地近隣の人通り調査を行って販売計画の根拠とする等も有効です。
5. 面談の対策が不充分な方
コンサルタントに創業計画書の作成を丸投げした方によく見られますが、面談時に自身の言葉で創業計画書の中身を説明できない方は、面談担当者の不信感を買い、創業融資を受けることが困難となってしまいます。
面談前には、提出した創業計画書をしっかりと見直し、中身について淀みなく説明できるようにしておきましょう。
6. 税金や公共料金の滞納がある方
日本政策金融公庫は、融資した資金をしっかりと返済してくれると認められる方にしか創業融資は行いません。
この点、税金や公共料金の滞納がある方は、融資した資金の返済についても遅延する可能性が高いと判断されてしまうこと等から、創業融資を受けることできません。
しかしながら、日本政策金融公庫では、過去に税金や公共料金の滞納の経験があっても、すでにその滞納が解消されていれば、創業融資を受けることが可能(→資金調達の現場レポート⑧ 代表者に税金滞納の経験のある会社の創業融資)です。
7. 融資の対象外事業を営んでいる方
日本政策金融公庫は、公共性に反すると考える業種を融資対象外事業として指定し、創業融資を含め、これらの事業への融資は行いません。
ただし、定款の事業目的に融資対象外事業が掲げられているだけで、実際に当該事業を営む予定のない方は、当該事業を事業目的から削除することで、創業融資を受けることが可能となります。
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起業支援と財務コンサルティングが得意な税理士。
これまでの最高調達支援額は10億円。
町田・相模原エリア初の「決算料0円、月額10,000円~の税務顧問×創業融資支援0円×会社設立手数料0円の起業支援プラン」をリリース。
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